先日イギリスGPのカレンダー脱落が明らかになったが、リチャード・カボーン英スポーツ大臣は、GPのホスト料について政府からの資金援助は一切ないことを強調した上で、英レーシング・ドライバーズ・クラブ(BRDC)がイベント存続のためにバーニー・エクレストンの要求する額を支払える別の方法を模索している。
カボーン大臣は、イギリス政府はすでにノーサンプトンシャー通り周辺の道路整備のために資金援助を行ったと述べるとともに、英モータースポーツ産業の支援資金として2600万ポンドのストックがあるものの、F1はイギリス政府が援助するまでもない「大金持ち」のスポーツだと指摘した。
一方でカボーン大臣は、週末にかけて新聞ならびにテレビメディアに向け、BRDCがエクレストンの要求に応える方法を急いで見つけなければならず、さもなければシルバーストンの改修工事に向けた資金援助も受けられなくなってしまうと語った。かねてからイギリスGPは設備の古さでエクレストンらから批判を浴びてきた。特に、2004年からバーレーンと中国でGPの開催が決定した後は、批判が強まっており、今後長期に渡ってカレンダーに留まるにはサーキットの改修が必須条件とされてきた。カボーン大臣は、前任者のケイト・フーイ氏から先週寄せられたメッセージを取り上げ、イギリスGPの消滅はイギリスのモータースポーツ産業にとって大きな打撃だと述べた。
カボーン大臣は先週末、英サンデーテレグレフ紙に対し次のように語った。「イギリスGPの行方は、世界でもっとも優れた自動車メーカー集団が国外に流出してしまう危険性を孕む重要なものだ。今回のように人々が口々に嘆かわしいと呼ぶ件で、彼らを失ってしまうことは私には容認できない。BRDCは自動車メーカーの発展という名目で、GP存続のためにもらっていた資金より多くの資金を政府から援助してもらえるだろう」
大臣はBRDCの支援を急務と考えている。というのも、エクレストンがシルバーストンを2005年のカレンダーに留めてもよいと考えている様子が伺えるためだ。先週末、シルバーストンのカレンダー脱落は決定的と見られたが、エクレストンはそれ以降、いくつかの条件をもとにイギリスGPの消滅について態度を軟化させている。
エクレストンはBBCのラジオ5ライブに対し、次のように語っている。「BRDCにはある契約を提案している。あとは彼らがそれにサインするだけだ。来季は全チームが18レースで戦うことを考えている。FIAにも恐らく、この考えに同意してもらえるだろう」
現在F1に参戦している10チームのうち7チームまでもがイギリスに本社を置いている。また、BRDCの要職に就くチームオーナーも多い。そのため、当初の予定とは異なる1シーズン18レースの提案が流れることはないと見られている。当初の報道によると、2005年には新規トルコ戦を含め17戦とするため、フランスGPもカレンダーから脱落するとされていた。
エクレストンはまた、ホスト料緩和についてのカボーンとの話し合いでも以前300万ポンドの開きがあったことを認めた上で、次のような支援策について提案が出されていることを明らかにした。
「約300万ポンドの開きがあったが、大臣は私に援助の可能性を尋ねてきた。つまり、私たちが150万ポンドずつ折半して援助するという提案だ」