7月7日、来季のトヨタへの移籍を発表したウイリアムズのラルフ・シューマッハー。インディアナポリスでのクラッシュ以来、療養生活を送っている彼に、事故のこと、来季のことなどを聞いた。
Q:できるだけ早くレースに復帰したいとお考えのようですが。
「レースに出たくてたまらないよ。特にホッケンハイムでは、本当にマシンに乗りたかった。ここ何戦か、レースを観戦していなければならなくてかなり辛い。でも仕方がないね。どうすることもできないが、早く復帰したいよ。僕の決断次第というならば、もうとっくに復帰していたところだが、そうはいかなかった。僕がチームの力になっている部分もあるわけで、みんなと話していると、帰ってきてほしいと言われるんだ。だからできるだけ早く戻って何勝か挙げたい。だいたいはもう大丈夫なんだ。動作によっては背中が痛むけどね。これからの状態を見て、ドクターの診断次第だ」
Q:再びアクシデントを起こした場合は、より深刻な事態になるとも言われていますね。
「リスクは覚悟しなければならないだろうね。でもそれは毎レースそうなんだ。比較的大丈夫だろうという状態になったら戻ることになるだろう。ハンガリーGPの1週間前には結論を出したい」
Q:去年もテストでクラッシュしたわけですが、モンツァでは復帰を急ぎすぎたとお考えですか。
「脳震盪を甘く見すぎたね。ああいうアクシデントは初めてだったから、もう少し様子を見るべきだった」
Q:インディアナポリスでの事故の際、オフィシャルのレスポンスが少し遅かったという見方もありますが。
「アクシデントの前の記憶はほとんどないんだ。スタートのことさえ覚えていない。彼らはルールに従って僕をマシンから動かせなかったんだ。背中にケガを負っていたわけだから、あれは正しい行動だったと思う。彼らはいつもどおり、ベストを尽くしてくれたよ。もっとうまくやれるのかもしれないが、どうすればいいかはシド(ワトキンス博士)が承知しているはずだ」
Q:オフィシャルの働きは評価するということですね。
「ケガの状況が問題だったんだ。マーシャルはマシンに触れなかったわけだが、それは適切な処置だった。僕のところに誰かが来るまで1分以上かかったような気がするが、あれは僕のいた位置が悪かったんだよね。走行しているマシンを避けて、コースをぐるっと回って来なきゃならなかったんだ。でも全体的にみて、彼らはできるだけのことをしようとしてくれたと思う。ドライバーたちをピットに入れるとかなんとか、いろんな手段があったかもしれない。でも後から言うのは簡単だよね」
Q:アメリカの医師団が背骨の骨折を見逃したとして、あなたは彼らを非難するコメントを出していたようですが。
「家に帰ったら、ものすごく気分が悪くなったんだ。一週間後には動けなくなったから、再度検査に行くことにしたんだ。真っ先に発見できないなんて、ミスと言うしかない」
Q:去年のモンツァのアクシデントの影響が今季もまだ尾を引いているということはあるのでしょうか。
「そんなくだらないことを言うのはパトリック(ヘッド)だけだ。そんなことは全くない。次のレースでの予選結果を見れば分かるはずだよ。レースでも全く問題なかった。本当にバカバカしいね」
Q:あなたが復帰なさる頃にはマシンの改善がさらに進んでいるだろうことは、不幸中の幸いですね。
「マシンはどんどん進化している。ファクトリーでは休みなく開発作業が進み、ニューパーツも投入される。最後の3戦にはまた優勝争いができるようになっているんじゃないかな」
Q:あなたが欠場している間、マルク・ジェネがフランスとイギリスで、アントニオ・ピッツォニアがドイツで代役を務めました。彼らについてはどういう感想をお持ちですか。
「彼らの状況はフェアとはいえないよね。年中テストをしていて、突然マシンに乗らされたんだ。マルクも同意見だと思うけど、予選というのは、独特の緊張感にさらされるものなんだ。ふたりはテストにおいては僕らとほとんど変わらない力を持っているし、実際いいレーシングドライバーだ。でも、レースの経験が足りないんだ。マルクはいい仕事をしたと思うよ。ホッケンハイムで彼が乗れなかったのは残念だ。でも一方で、アントニオにチャンスを与えて、彼の力を見るというのはフェアなことだ。彼は本当に優れたドライバーだよ。ジャガーでは不振に陥っていたけどね」
Q:あなたがトヨタに移籍するというウワサは何カ月も前から流れてはいましたが、それでもいまだに不思議に思う人間もいるようですが。
「もちろん、厳しいスタートとなるだろうね。それでもとても楽しみにしているんだ。全く新しいチャレンジとなるわけだから。まだ新しいチームだから改善の余地が大きく、それには僕も手を貸せるかもしれない。まだまだ経験を積んで学ぶべきことが多いんだ。絶対に素晴らしい関係を築けると思う」
Q:トヨタであなたがしようとしているのは、お兄さんのミハエルがフェラーリでしてきたようなことだという意見もありますが。
「真似しようなんて全く考えていないよ。6年もウイリアムズで過ごしたから、新しいことがしたくなったんだ。若いチームに加入し、共に働き、ハードワークに勤しむというのはすごく楽しみだよ。さらなる成功を収めるチャンスだと考えている」