FIA会長のマックス・モズレーが、来月モナコで開かれる次回会合について、各チーム監督らにそれぞれの展望を話す機会を与えるだけの場所、と語った。FIAは、何があっても2008年シーズンまでに変革を実施しようというのだ。
サンマリノGPにてF1大変革の構想を明かしたモズレーは、現在のコンコルド協定が2007年12月に切れれば、FIAは以降の規則書を完全な自由裁量で描き直せることになると話した。
しかし彼は、民主主義に乗っ取って、モナコGP後の会合には全10チームの監督と技術分野の権威らを招き、F1の将来的方向に関する彼らの声を聞く機会を設けたという。が、車メーカー各社にとってはご機嫌取りの飴のようなものでしかなく、彼らは皮肉をこめ、SLECとFOMの代表者らとのF1の近未来に関する交渉から降りることを、モズレーの構想発表後まもなく明らかにしている。
「フェラーリのような有力チームもすべてのチームが我々の提案する変革に賛成してくれるものと信じている。なぜなら、まったく自制のきかないところまで経費が及んでいることに皆が頭を痛めているからだ」とBBCスポーツで語るモズレー。
「それほどの説得力がなくても変革の数々に大多数は賛成してくれるはずだが、実はそんなことは問題ではない。なぜなら、2008年1月1日からはコンコルド協定が効力を持たなくなり、FIAはしたいと思えば何でもできるようになる。その手始めが2008年世界選手権の規則書であり、彼らは参戦したいかしたくないかを考えるだけだ」
F1に興奮を取り戻すことが自身の望みであることを繰り返し強調するモズレーだが、現在の選手権はフェラーリとミハエル・シューマッハーの独壇場だ。エンジン、タイヤ、空力のそれぞれの仕様の変更も課題に挙がっている。
「これらの変更は全てレースをより接近したより面白いものにするためになされるべきだが、同時に、経費の大幅削減もあり、有力チームと予算の少ないチームらとの格差を減らしたい。これら全てがうまく組み合わさり、レースが観て楽しいエンターテイメントになってくれればと願っている」
同時に、GPWC、SLEC、FOMの間の交渉決裂が発表されると、自動車メーカーらがモズレーの構想反発を理由にF1に対抗するシリーズを立ち上げるのでは、という噂が直ちに起きた。しかし、チーム監督のポール・ストッダートは、モナコでモズレーと話し合うことに同意する6名の内に今のところ入っていないが、この噂を‘くだらない’と一笑に付す。
「離脱したいというチームがあるならそれもいい。FIAの世界選手権を去ろうとするチームはまだまだいるだろう、ミナルディも含めて」とストッダート。「だが、そうはならない。離脱したところで、替わるシリーズを新たに始められるわけではないからだ」
率直に言葉を発することで知られるストッダート。新装F1の円滑な実現は難しくなるだろうと認めながら、こうも語る。
「すでに話し終えたことをまた話し合うために会合を重ねるほど悲しいことはない」
「F1のすべての問題の解決方法を探るために歩み寄りつつあるのだが、モナコでの会合がそれに沿ったものになることを願ってはいるが、私は疑問をぬぐえない。何を決めるにも時間がかかり過ぎ、やっと何かが決定したと思えば、また全てがひっくり変える事態になる」
「そろそろみんな自分自身のために動くことを考える時期だろう。建前でなく本気で問題を洗い出すんだ。まるで司祭を選ぶときみたいに、皆を1つの部屋に閉じこめて、血染めのドアには鍵をかけ、煙突から白煙が上がるまでは誰もそこから出られないって具合にね!」