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小松礼雄コラム:スペインGPでグティエレスが入賞を逃した2つの原因
2016年5月26日
新生ハースF1チームに移籍し、チーフエンジニアとしてチームのレース部門を統括する小松礼雄氏。スペインGPはFP1でタイヤ問題に苦戦したものの過去2戦の経験からFP2は大きく向上。今回のレースのポジティブな点としてあげています。逆に、ネガティブな点はマシンの信頼性がまだ不十分でFP2はエステバン・グティエレスがロングラン走行できず、ロマン・グロージャンもレース中にフロントウイングが壊れるなど、まだ本来の実力を出しきるには至っていないようです。F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム第7回をお届けします。
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経験不足による大きな誤算で
レース中のタイヤ戦略を生かせず
スペインGPではまず、シーズン前から予定していたアップデートとして、新しいリヤウイングを装着しました。これによってダウンフォースが増えましたが、今回のアップデートはそのリヤウイングのみです。もう1箇所、リヤウイングの下につくエキゾーストのテールパイプ近くの小さなウイング、モンキーウイングをP1で試しましたが、耐熱性が足りなかったので、結局リヤウイングだけの採用になりました。
バルセロナの週末はまず、P1の走り出しが2台とも本当にひどかったです。なぜかというと、やはりタイヤをちゃんと使えていなかったからです。でも、良かったことは、ロシアと中国でもタイヤに苦労して、みんなでデータを見たり考えたりいろいろしていたので、みんなのタイヤとセットアップに対する理解が深まってきていたことです。過去2戦のうまくいかない経験があったので、今回のバルセロナではFP1の後データをしっかり見てセットアップを変えて、FP2ではすごく良くなりました。
結果、FP2のタイムは他のチームに比べて、FP1からかなり上げることができました。それが今回のスペインGPのポジティブな出来事です。ポジティブじゃなかったのは、FP2でエステバン(グティエレス)のクルマの方に信頼性の問題があったので、ロングランが走れなかったこと。そこでの走行不足があとあと日曜日に響いてくるのですが、それが良くなかった。それでもFP2を終えて、FP3に向けてもまたもう一歩セットアップを改善して、それでもう少しクルマを速くすることができた。そういう意味で、一歩一歩セットアップを良くしていけたのはチームとして確実に進歩しているなと実感できました。
そして予選になるわけですが、予選はエステバンがQ1ですごくいいタイムを出しました(8番手)。今のところウチがちゃんとタイヤを使えて、クルマのバランスも調節できて、ドライバーがミスなく走れれば、あそこが限界だという速さです。予選が全て終わった後に路面のグリップ変化などのデータを補正して全体像を分析しますが(全車Q3のトラックコンディションで走ったらタイムはどうなるか計算し直します)、そうするとあのタイムはトップ10でトロロッソの(カルロス)サインツとほぼ同タイム。フェラーリからもコンマ6秒くらいしか遅れていないことがわかりました。ですので、きちんとセットアップをしてタイヤを使えれば、実力でトップ10にギリギリいけるポテンシャルはあるという確認ができたのがすごく良かった部分です。
予選で良くなかった部分としては、まだクルマの方でもドライバーの方も不安定でばらつきがあるので、エステバンがQ2でタイムをまとめられなかったことです。本当はQ1よりコンマ3秒くらい速くならないといけないところを、逆にコンマ3秒くらい遅くなって予選16位になってしまいました。
エステバンに比べて、ロマン(グロージャン)の方はクルマが全然良くありませんでした。まだ何に問題があるか完璧には把握できていなのですが、とにかくオーバーステアが抜けなくて、最後に補正を全部かけてみても、エステバンよりもコンマ3秒くらい遅かった。でも、これはロマンの実力を反映していないことは明らかです。
エステバンのタイムを基準に、これまでの経緯からロマンが出せるべきタイムを計算すると7位あたりになります。ですからクルマの実力の限界としてはそこら辺にあるのかなと思います。もちろん、大きな問題はロマンのクルマの問題点を解決できなかったために、実力を発揮できず、実際は14位で終わってしまったことです。残念ながらこれが今のチームの現状ですので、なんとか早く改善していきたいと思っています。
レースでのタイヤ戦略はバルセロナの走り始めからソフト→ソフト→ミディアムに絞っていました。しかし予選が終わって、他チームがレースに残してあるタイヤを確認したら、みんなソフト→ミディアム→ミディアムでいくというのが判ったので、正直ちょっと不安になりました。
でも実際走ってみたら、ソフト→ソフト→ミディアムで全然良かったのでホッとしました。エステバンは特に第2スティントで速さを見せることが出来よかったですが、ロマンはずっとトラフィックにひっかかっていて、速さを生かせませんでした。これはもちろん、予選順位が悪かったことが影響しているわけです。バーレーンでスーパーソフトをレースで生かせたのも予選9位という結果があったから。週末の早い段階でミスがあると後々響いてくるという良い(悪い?)例です。
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経験不足による大きな誤算で
レース中のタイヤ戦略を生かせず
スペインGPではまず、シーズン前から予定していたアップデートとして、新しいリヤウイングを装着しました。これによってダウンフォースが増えましたが、今回のアップデートはそのリヤウイングのみです。もう1箇所、リヤウイングの下につくエキゾーストのテールパイプ近くの小さなウイング、モンキーウイングをP1で試しましたが、耐熱性が足りなかったので、結局リヤウイングだけの採用になりました。
バルセロナの週末はまず、P1の走り出しが2台とも本当にひどかったです。なぜかというと、やはりタイヤをちゃんと使えていなかったからです。でも、良かったことは、ロシアと中国でもタイヤに苦労して、みんなでデータを見たり考えたりいろいろしていたので、みんなのタイヤとセットアップに対する理解が深まってきていたことです。過去2戦のうまくいかない経験があったので、今回のバルセロナではFP1の後データをしっかり見てセットアップを変えて、FP2ではすごく良くなりました。
結果、FP2のタイムは他のチームに比べて、FP1からかなり上げることができました。それが今回のスペインGPのポジティブな出来事です。ポジティブじゃなかったのは、FP2でエステバン(グティエレス)のクルマの方に信頼性の問題があったので、ロングランが走れなかったこと。そこでの走行不足があとあと日曜日に響いてくるのですが、それが良くなかった。それでもFP2を終えて、FP3に向けてもまたもう一歩セットアップを改善して、それでもう少しクルマを速くすることができた。そういう意味で、一歩一歩セットアップを良くしていけたのはチームとして確実に進歩しているなと実感できました。
そして予選になるわけですが、予選はエステバンがQ1ですごくいいタイムを出しました(8番手)。今のところウチがちゃんとタイヤを使えて、クルマのバランスも調節できて、ドライバーがミスなく走れれば、あそこが限界だという速さです。予選が全て終わった後に路面のグリップ変化などのデータを補正して全体像を分析しますが(全車Q3のトラックコンディションで走ったらタイムはどうなるか計算し直します)、そうするとあのタイムはトップ10でトロロッソの(カルロス)サインツとほぼ同タイム。フェラーリからもコンマ6秒くらいしか遅れていないことがわかりました。ですので、きちんとセットアップをしてタイヤを使えれば、実力でトップ10にギリギリいけるポテンシャルはあるという確認ができたのがすごく良かった部分です。
予選で良くなかった部分としては、まだクルマの方でもドライバーの方も不安定でばらつきがあるので、エステバンがQ2でタイムをまとめられなかったことです。本当はQ1よりコンマ3秒くらい速くならないといけないところを、逆にコンマ3秒くらい遅くなって予選16位になってしまいました。
エステバンに比べて、ロマン(グロージャン)の方はクルマが全然良くありませんでした。まだ何に問題があるか完璧には把握できていなのですが、とにかくオーバーステアが抜けなくて、最後に補正を全部かけてみても、エステバンよりもコンマ3秒くらい遅かった。でも、これはロマンの実力を反映していないことは明らかです。
エステバンのタイムを基準に、これまでの経緯からロマンが出せるべきタイムを計算すると7位あたりになります。ですからクルマの実力の限界としてはそこら辺にあるのかなと思います。もちろん、大きな問題はロマンのクルマの問題点を解決できなかったために、実力を発揮できず、実際は14位で終わってしまったことです。残念ながらこれが今のチームの現状ですので、なんとか早く改善していきたいと思っています。
レースでのタイヤ戦略はバルセロナの走り始めからソフト→ソフト→ミディアムに絞っていました。しかし予選が終わって、他チームがレースに残してあるタイヤを確認したら、みんなソフト→ミディアム→ミディアムでいくというのが判ったので、正直ちょっと不安になりました。
でも実際走ってみたら、ソフト→ソフト→ミディアムで全然良かったのでホッとしました。エステバンは特に第2スティントで速さを見せることが出来よかったですが、ロマンはずっとトラフィックにひっかかっていて、速さを生かせませんでした。これはもちろん、予選順位が悪かったことが影響しているわけです。バーレーンでスーパーソフトをレースで生かせたのも予選9位という結果があったから。週末の早い段階でミスがあると後々響いてくるという良い(悪い?)例です。
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※オーストリアGP終了時点
1位 | マックス・フェルスタッペン | 237 |
2位 | ランド・ノリス | 156 |
3位 | シャルル・ルクレール | 150 |
4位 | カルロス・サインツ | 135 |
5位 | セルジオ・ペレス | 118 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 112 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 111 |
8位 | ルイス・ハミルトン | 85 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 41 |
10位 | 角田裕毅 | 19 |
※オーストリアGP終了時点
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 355 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 291 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 268 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 196 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 58 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 30 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 19 |
8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 9 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 2 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |