短い夏休みを終えて、F1サーカスは、新たなる開催地であるイスタンブールで再び集結する。トルコGPは今年が初開催となり、ヘルマン・ティルケがデザインしたこのサーキットに、みな万全の準備で臨もうとしている。
昨シーズンのバーレーンや中国もそうだったが、新しい施設ではいつも、10チームは様々なコンピュータ・シミュレーションから十分なデータを引き出し、週末にマシンがどうなりそうか、それなりの予想を立てることになる。
「エンジニアリング面の準備は、レースの何カ月も前にラップシミュレーションをするところから始まる」とルノーのディレクター・オブ・エンジニアリングであるパット・シモンズは語る。「1周をコンピュータでシミュレートするには、たった40秒しかかからない。その背後で、精巧なモデルをプログラミングするのには、もっと時間がかかっているがね」
「ラップシミュレーションに情報を与えるプロセスを早く始められれば、それだけ準備もうまく進めることができる。しかし、これは必ずしも簡単なことではない。サーキットの配置が最終決定され、詳細なマップがFIAから発行されてから、作業を本格的に始めることができるのだ。舗装の境界線はデジタル化され、シミュレーションプログラムの第一段階に組み入れられる。このプログラムは、数学的な計算をもとに理想的なレーシングラインを割り出すことができる」
「これが確立されると、“平均的な”セットアップを施したマシンが導入される。ここから、セットアップの基本を決めるために、様々なウイングセッティングやギヤ比が検討されるのだ。それが終わると、バーチャルなラップタイムを最小に短縮するために、重量配分やサスペンションセッティングに修正が加えられる。その後、チームは適切なタイヤコンパウンドの選択に役立てるために、タイヤからのエネルギーの要求について検討し始めることができる。そして、この段階で、ブレーキのエネルギーの必要量と、ある程度まではブレーキのクーリングの必要性も計算することができる」
「これは科学的に聞こえるかもしれないが、数値化できないたくさんの要因によって、シミュレーションに誤りが生じることもある。それは、実際にサーキットを見てみるまでは修正が不可能なことも多いのだ」
ザウバーのテクニカルディレクターであるウィリー・ランプは、ヒンウィルの本部で行われた計算に基づいて、チームが金曜朝にセットアップを確立するときには予想の範囲内で行けるだろうと確信している。
「トルコはF1にとって、また新しいコースになるが、到着するときにはすでに、私たちはそのコースにかなり慣れ親しんでいるはずだ」とランプは述べる。「私たちは、サーキットのオフィシャルマップと共にシミュレーションプログラムを利用する。このプログラムでは、ダウンフォースレベルやメカニカルグリップなどの異なるパラメーターを評価するために、基本的なマシンのモデルを走らせることができるのだ」