ブリヂストンが、アメリカGPで初表彰台を獲得したBARホンダの佐藤琢磨にお祝いの言葉を述べた。BARはブリヂストンにとってはライバルであるミシュランユーザーであり、この発言は異例のものともいえる。
ブリヂストンの安川ひろしモータースポーツディレクターの言葉には、母国への誇りが滲んでいた。BARは2003年シーズン末までブリヂストンユーザーであり、この時期安川と佐藤とは共に仕事をしている。その佐藤が、第5回アメリカGPで、ブリヂストンを使用するフェラーリのミハエル・シューマッハー、ルーベンス・バリチェロに続き、3位を獲得し、表彰台に上ったのだ。
「もちろん、フェラーリが優勝してうれしいけれど、日本企業として、3位を獲得した佐藤選手を祝福したい。何より、日本人ドライバーが14年ぶりに表彰台に上ったのだから」と安川。
佐藤は3番グリッドからスタートしたものの、その後後退。しかし他のドライバーが不運に見舞われたことにも助けられてポジションを回復し、終盤にはルノーのヤルノ・トゥルーリを抜いて、元々の3番手のポジションを取り戻した。佐藤はミシュランユーザートップでフィニッシュ、以下7番手まではミシュラン勢が続いた。その後ろには、ブリヂストンユーザーのミナルディのゾイト・バウムガルトナーが、荒れたレース展開を味方につけて、8位に入った。
安川は続けて、こうコメントした。「今季初ポイントを獲得したゾイトとミナルディ・コスワースチームにお祝いを申し上げたい」
「彼らは、開幕して以来ずっと必死に頑張ってきたのだ。今回の入賞によって報われたことだろう」
菅沼寿夫テクニカルマネージャーは、それぞれ大きく異なる特徴を持つふたつのパートに分かれるこのコースで、しかも初夏の日差しの下、路面温度がぐんぐん上昇するという状況に、ブリヂストンタイヤが見事に対処できたことに満足していると語った。
「今回でシーズン6度目のフェラーリ1−2だったが、タイヤの面から考えると、決して容易ではなかった」と菅沼。「タイヤサプライヤーにとってスピードウェイは非常にチャレンジングなコースだ。だからこそ、あの状況下での我々のタイヤのパフォーマンスを見て嬉しかった。しかもあの暑さだったのだから」
「限界に近かったけれど、フェラーリの2ストップ作戦を手助けできて、たいへん満足だった。ミナルディが今シーズン初のポイントを獲得できたことも素晴らしいが、しかし、レースでもっと多くのブリヂストンユーザーが完走できなかったのは少し残念だね」
フェラーリのロス・ブラウンも、フェラーリの2台が揃ってレースを引っ張ったけれども、タイヤにとっては易しいレースではなかった、と同意を表した。
「今日、タイヤは非常に良かった」と、ブラウンは熱く語った。「レースの展開に合わせ、燃料をたくさん積んだ状態で車を走らせなくてはならなかったのだが、そういう時というのは、タイヤを多少気遣わなくてはならないんだ。しかし、タイヤはパーフェクトだった。彼らが用意してくれたタイヤが、予選で必要なパフォーマンスを発揮し、なおかつレースでも持ちこたえてくれたというのは大きかったよ」