マクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はF1第9戦オーストリアGPとF1第10戦イギリスGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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オーストリアGPとイギリスGPの2週連続開催で、残念ながらマクラーレン・ホンダはどちらのレースでも入賞はならなかった。だが、序盤戦に漂っていた重い雰囲気は、レッドブルリンクでもシルバーストンでも感じることはなかった。それはこの2戦でポイント獲得はできなかったが、収穫はあったからだ。
それはスペック3投入によって、中団の中で戦えるようになったことだ。イギリスGPでは、ストフェル・バンドーンがレース序盤はフォース・インディア勢2台とウイリアムズのフェリペ・マッサと同じペースで走っていた。そのことは長谷川祐介ホンダF1総責任者も認めていた。
「スペック3を入れた時点から、相対的なパフォーマンスは昨年と同じくらいの位置にいます」(長谷川総責任者)
長谷川総責任者は、「昨年と同じくらい」というポジションについて明言は避けたが、最新型ではないメルセデスのPUを搭載したチームとほぼ互角に戦えるという意味だと考えていいだろう。そして、それは開幕時に昨年よりも広げられていたギャップが、ようやくスペック3の投入で、ほぼ昨年と同じにまで詰まったということを意味する。
もうひとつの収穫は、10戦目にしてようやくバンドーンが調子を取り戻していたことだ。フェルナンド・アロンソのドライビングは、今年のスペインGPの予選7位や、イギリスGPの予選Q1でトップタイムのように、並外れたテクニックが必要なため、シャシーやPUの真の性能が判断しにくい。バンドーンが遅いのではなく、アロンソの走りが桁外れなのである。
つまり、そのバンドーンが予選で初めてアロンソを上回ったということは、マシンの出来がPUも含めたパッケージとして、向上しているということを意味する。
イギリスGPが始まる前は、パワーサーキットのシルバーストンで厳しい戦いが予想して、現地に乗り込んだマクラーレン・ホンダ。レースを終えた彼らは、ポイント獲得ができなかったことを悔しがって、シルバーストンを後にしていた。