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【F1チーム別技術レビュー:メルセデスW14】レッドブル寄りにコンセプト変更も、不安定さに苦しみ続けたドライバー達
2024年1月21日
2023年F1各マシンのシーズン通しての変化を、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルがまとめた。今回は、メルセデスが2年続けて低迷した背景を伝える。
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2023年のメルセデスは、コンストラクターズ選手権で前年よりひとつポジションを上げて2位を獲得した。しかし統計レベルでは、2022年よりも悪化している。
まず総獲得ポイントは、2022年に比べて106ポイント減った。さらに1勝もできず(無勝利に終わったのは2011年以来だった)、表彰台に上がった回数は約半分だった(2022年の17回に対して8回)。
なぜメルセデスは、またも浮上に失敗したのだろう。
全ては2022年の冬まで遡る。このシーズン終盤、W13は好パフォーマンスを発揮。そこで開発エンジニアたちは、あれだけ物議を呼んだゼロポッドコンセプトを継続させてW14を開発することを決めたのだった。一方で苦しみ続けたポーパシング現象を避けるため、最低地上高を上げることにした。
しかし開幕直前のバーレーンテストで、設計者たちは空力性能の点でこの車が限界に達していることをすぐに理解した。車高に慎重になりすぎたことで、確かに車体は跳ねなくなった。しかし一方で、速く走るために必要なダウンフォースが致命的に足りなくなっていた。
こうなったら、現役最速のレッドブルを参考にするしかない。非常に低い車高で走れるRB19からインスピレーションを得て、メルセデスはW14のボディワークをより低い地上高に適応させることを目的とした大規模な開発プログラムを開始した。
最初の大規模アップデートはモナコで行われ、外観的にはあのゼロポッドが姿を消した。しかしより重要な改良は、見えない部分で行われていた。RB19に酷似したアンチダイブ・フロントサスペンションを導入したのだ。このおかげでW14はブレーキング時の沈み込みを(その結果としてダウンフォースの過度の増減を)、かなりの程度制限できるマシンとなった。
とはいえ開発方向性に右往左往したことで、マシンへの理解はいっこうに進まなかった。レース週末にサーキット特性に合ったセッティングを見つけることに苦労することが多かったのは、そんな理由からだった。「特に(フリー走行が1回だけだった)スプリント形式の週末には手こずった」と、トト・ウォルフ代表は回想する。
マシンへの理解に苦しんだのは、エンジニアだけでなくドライバーも同様だった。W13とW14の生みの親であるテクニカルディレクターのマイク・エリオットの後任となったジェームズ・アリソンは、こう語っている。
「コーナーに進入するときに車が不安定になり、クリッピングでイライラするほど止まってしまう。本来あるべき姿とはまさに逆だったと、二人から不満を漏らされたよ」
そこでチームはシーズン後半のアメリカGPで、不安定さを解決するためにさらなるアップデートを投入する。新たなフロアのおかげで、特に高速コーナーでの競争力は上がった。数値的にはわずかコンマ1秒の改善だったとしても、ドライバーに自信を与えるという目的は多少は達成されたと言えるかもしれない。
しかし、アメリカでのアップデートは、2024年型マシンに関して正しい方向性を確認することを大きな目的としていたため、問題を完全に解決したわけではなかった。
「コーナー進入時の不安定さについて、我々はマシンが跳ねることが原因だと思っていた。しかしその問題が解決された後も、ルイス(・ハミルトン)とジョージ(・ラッセル)は、不安定さを指摘した」とアリソンは言う。
「実際、オースティンのアップデートでは、その点はわずかな進歩しかなかったことを認めざるを得ない」
メルセデスはここ数年、空力部門の上級エンジニアたちを失い続けている。まず2018年にエンリコ・バルボがレッドブルの空力責任者となり、2022年6月にはエリック・ブランディンもアストンマーティンに移籍してしまう。これらの離反は間違いなくメルセデスの空力部門に混乱をもたらし、2022年のマシンコンセプトがほとんど明るい可能性をもたらさないことを理解できなかった。
それでもアリソンは、2024年シーズンを楽観視している。
「我々全員がこの車で何をしたいのか、かなり明確なビジョンを持てるようになったからね。確かに去年のメルセデスは、マクラーレンほどの目覚ましい進歩を遂げることはできなかった。それでもシーズンを通して何を修正すべきかは、非常にクリアになった。今年は、かなりエキサイティングなシーズンになるはずだ」
マシンコンセプトをレッドブルに近づけたマクラーレンは、より良い開発組織のおかげで進歩が可能であることを証明した。もしメルセデスが同等の飛躍を今年も遂げることができないのであれば、組織改革を真剣に考え直さなければならないだろう。もはやコンセプトが誤っていたという言い訳はできないのだから。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています
(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)
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9/20(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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予選 | 結果 / レポート | |
9/22(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
1位 | マックス・フェルスタッペン | 331 |
2位 | ランド・ノリス | 279 |
3位 | シャルル・ルクレール | 245 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 237 |
5位 | カルロス・サインツ | 190 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 174 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 155 |
8位 | セルジオ・ペレス | 144 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 24 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 516 |
2位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 475 |
3位 | スクーデリア・フェラーリ | 441 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 329 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 34 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 31 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 16 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 13 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第18戦 | シンガポールGP | 9/22 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |