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スペイン人ライターのF1便り:最強エンジンとマシンを求めるアロンソは『裸の王様』なのか

2017年8月3日

 スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアのモータースポーツコラム。来季の決まらないフェルナンド・アロンソにスペインでも様々な噂が囁かれている。勝てるマシンとエンジンを求めるアロンソだが、すでに選択肢は限られたものとなっている。


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 マクラーレン・ホンダに復帰してからの数年間、フェルナンド・アロンソはさながら現代版『裸の王様』のようである。この物語に登場する王様が仕立屋に「誰にも見えない服」を作ると約束されたのと同じように、アロンソも『チャンピオンシップを争える最強のエンジンとマシン』を約束されていた。


 しかし、それから3年経ってもなお、当初望んでいたものはまだ見えない。マクラーレンもホンダも優勝を争えるマシンをアロンソに届けることができておらず、2度のワールドチャンピオンであるアロンソの忍耐は限界が来ている。3年間で入賞13回、最高順位5位という成績は彼にとって不十分だ。彼の未来について、F1に留まる方向でも、F1から離れる方向でも噂されて当然だ。


 彼が抱えるいらだちにも関わらず、現時点ではF1に留まるだろうというのが最も理に適った見方だ。最近彼はスペインメディアに対して来シーズン複数の選択肢があることを明らかにしており、その選択肢の全ては勝利を目指すためのものだと語っている。


 彼は勝利に飢えているが、彼にとっての本当の選択肢とは何なのだろうか。ひとつ目の選択肢はマクラーレンからの契約延長オファーを受諾し、4年目のシーズンを迎えるというものだろう。報じられているように、ロン・デニス離脱後のチームの運営方法を新CEOのザック・ブラウンがうまく再編成しており2018年シャシーは競争力に期待できるだろう。


 もちろん大きな疑問なのは来シーズンのパワーユニットだ。ここ数カ月のマクラーレンからの厳しい言葉にも関わらず、ホンダが供給を続ける可能性はまだ非常に高い。


 この点で、我々は2015年にレッドブルとルノーの間に何が起こったかを思い出さなくてはいけない。このふたつの組織の間に修復不可能な溝ができたように思われたものの、結局は命名権を取得し“タグホイヤー”というバッジネームを付けルノー製パワーユニットの使用を継続した。もしマクラーレンがパワーユニットを供給してくれるサプライヤーを見つけられなければ、彼らはホンダ製パワーユニットを使わざるを得なくなる。もしかしたらマクラーレンとホンダは既になんらかの合意に達しているかもしれないが……。


 また今年のホンダは、パワーユニットのコンセプトを完全に変更してきたということを忘れてはいけない。結果として性能は一歩後退し、その間にライバルたちは二歩前進したが……。もしこれが保証できるのであれば、マクラーレンを説得するのもそれほど難しくはないだろう。


 だがもし合意がなされなければ、代替案は何であろうか。F1には現在3つのパワーユニットメーカーがいるものの、マクラーレンがフェラーリ製パワーユニットを受け入れるのは難しい。


 例えそれがアルファロメオという名前であってもだ。スペインメディアはメルセデスが鍵を握っていると確信している。彼らがマクラーレンとアロンソの双方に救済の手を差し伸べる可能性があると考えているのだ。ルノーはダークホースだが、すべてはマクラーレン以外の第2チームとホンダの契約交渉の進展次第だ。どちらにせよ、この話題の中心にはホンダがいる。


 もちろんアロンソがマクラーレン以外のチームでF1を続けるというのも可能だ。彼のマネージャーを務めるフラビオ・ブリアトーレは最近、アロンソがフェラーリには移籍しないという話を否定したが、フェラーリ復帰はどのくらいの確立で起こりうるのだろうか?


 実際のところ、まったくその可能性はない。セバスチャン・ベッテルはチームに満足しており、フェラーリとの新しい契約が発表されるのはもはや時間の問題なのだ。


 そしてこれはよく知られているように、フェラーリはベッテルとアロンソにペアを組ませることには乗り気でないのだ。メルセデスに移籍する可能性もあるだろうが、それにはルイス・ハミルトンが移籍するか、引退する(現時点でその可能性はない)必要がある。


 というのもハミルトンはチーム内で大きな力を持っており、自分の同僚の決定について拒否権を持っているはずだ。ウイリアムズでレースをするアロンソを想像するのは難しいが、移籍の可能性を完全に捨ててしまうべきではない。しかし、去年チャンピオン獲得後に電撃引退を発表したニコ・ロズベルグのようにF1では誰も予想し得なかった大きなサプライズがしばしば起こるということを忘れてはいけない。


 そういう状況である以上、アロンソは来年もこれまでと同じマクラーレンとともに歩んでいってはどうだろうか。最も望んだ道ではないのかもしれないが。


 F1の現役を続行する場合は、競争力のあるチームの選択肢はそれほど多く残されていないが、他のカテゴリーからは好ましいオファーが届くかもしれない。


 アロンソの衝撃的なインディ500デビューが彼の力を証明しており、適切なマシンに乗ってさえいればまだ勝利を争える事実を示している。インディカーはアロンソのことを完全に受け入れ、アロンソ自身もそこで心地よく過ごしているようだった。彼はインディ500前後のテレビ番組にも出演しており、マイケル・アンドレッティとチームとの関係も良好だった。


 最近、アンドレッティ・オートスポーツは2018年からシボレーエンジンに変更すると噂されているが、もし仮にアロンソがF1を完全に離れてインディに行った場合でも、関係ないだろう。事実彼とホンダが喧嘩別れをしてしまった場合、むしろチャンスは増えることになる。


 インディ500と同等に魅力的な選択肢であるル・マン24時間レースもありアメリカだけが唯一の選択肢ではない。ただインディカーと同じように世界耐久選手権(WEC)も噂でいっぱいで、現時点ではポルシェがすでに撤退を発表し、トヨタですら来年参戦するか不透明だ。


 アロンソの参戦はWECにとって価値のあるものになるだろうし、誰もWEC参戦の可能性を完全に否定すべきではない。


 実際彼がF1に参戦しない場合、WECのフルシーズンとインディ500に参戦するか、インディカーのフルシーズンに参戦しながらル・マン24時間(もし必要であればスパ・フランコルシャンでのレースも)に参戦するという可能性がある。しかし当然だがこれらはあくまで噂でしかない。


 彼自身は2018年シーズンに関しての決定を10月中に下すと語っており、これから少しずつ状況が明らかになっていくだろう。彼の決断に期待しよう。



(Alex Garcia)




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