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大幅アップデート投入も、開発競争でフェラーリに一歩出遅れたメルセデス/全チーム戦力分析(2)

2019年3月6日

 第2回F1バルセロナテストを終えて、徐々に新車の実力が明らかになってきた。今回はF1開幕戦オーストラリアGPに向け各チームの実力を数値化して分析。第2回目はメルセデスだ。


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■メルセデスのチーム戦力
 100点満点中90点
■テストでの最速タイム
 2番手/10チーム中 1分16秒224(ルイス・ハミルトン/C5タイヤ/3月1日午後)
■予想される本来の実力
 2番手/10チーム中 1分16秒000(※トップとの差0.5秒)
※トップチームがアタックした場合、1分15秒500のタイムが出ると仮定
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 レッドブル・ホンダ同様、メルセデスも1回目と2回目のプレシーズンテストで状況が一変したチームだ。ただし、メルセデスの場合は、レッドブルとは対照的に1回目のテストから2回目のテストに向けて復調し、良い形でテストを締めくくることができた。


 1回目テストでのメルセデスは、バルテリ・ボッタスが1分17秒857で4日間全体の6番手、ルイス・ハミルトンも1分17秒977で4日間全体の7番手に終わった。ボッタスのタイムはC5タイヤ(旧ハイパーソフト)を履いて記録されたものだが、ハミルトンはC4タイヤ(旧ウルトラソフト)で同等のタイムを記録していることから、ボッタスがマシンの性能をきちんと出していれば、テスト1回目の総合トップのニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)の1分17秒393を上回っていた可能性は高い。


 だが、メルセデスが戦うべき相手はルノーではなく、フェラーリやレッドブル・ホンダという点を考えると、ハミルトンがC4タイヤで記録したタイムも決して満足のいく内容ではなかった。

第1回バルセロナテスト:ルイス・ハミルトン(メルセデス)
第1回バルセロナテスト:ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 1回目のテストではハミルトンも「2018年と比較して、マシンのフィーリングが大きく違うので、いまはマシンをより理解することに努め、どうすれば性能を引き出すことができるのかを探っているところだよ」と歯切れの悪いコメントに終始していた。この時点でメルセデスはかなりの危機感を持って、バルセロナを後にしていたに違いない。

2019年F1バルセロナテスト2回目 ルイス・ハミルトン メルセデスW10
2019年F1バルセロナテスト2回目 ルイス・ハミルトン メルセデスW10


 1回目のテスト終了から5日後の2月26日にカタロニア・サーキットで登場したメルセデスのマシンは、2台目の新車と言えるほど、1回目のテストから大幅にアップデートされていた。


 先端が円形をした独特の形状をしたノーズは、クラッシュテストの関係から、2回目のテストに投入することはかなり前から予定されていたと考えられるが、フロントウイングの翼端板が1回目が内向きだったのに対して、アップデートされたものでは外向きに変更。これは空力の根本的な変更であり、1回目のテストでのライバルたちのマシンのパフォーマンスを見て、急きょ投入したパーツだと考えられる。

■セットアップが不十分ながらもフェラーリに匹敵する速さを見せたメルセデス


2019年F1バルセロナテスト2回目 ルイス・ハミルトン メルセデスW10
2019年F1バルセロナテスト2回目 ルイス・ハミルトン メルセデスW10


2019年F1バルセロナテスト2回目 ルイス・ハミルトン メルセデスW10
2019年F1バルセロナテスト2回目 ルイス・ハミルトン メルセデスW10

 そもそもフロントウイングのサイズをFIAが変更したのは、アウトウォッシュと呼ばれる乱流をフロントウイングから発生させないための措置だった。この時点でメルセデスは、アウトウォッシュに頼らずに、新たなアイディアによってダウンフォースを獲得しようとこれまで外向きだった翼端板を内向きにしたと考えられる。


 ところが、テストが解禁されると、いくつかのチームはサイズが変更された後のフロントウイングでも、新たなアウトウォッシュ効果を作り出すことに成功していた。初日のタイムを見た時点で、メルセデスは翼端板のデザイン変更を開始したと思われる。


 それ以外にもフロア、サイドポッド周辺のボディワーク、Tウイングなどにも改良が加えられていた。この早い決断が功を奏し、メルセデスは2回目のテスト最終日となる3月1日にハミルトンがフェラーリのセバスチャン・ベッテルに肉薄する1分16秒224をマークして、8日間のテストを締めくくった。


 しかも、このハミルトンのタイムは、ベストタイムをマークしたほとんどのドライバーのようにお昼前後の路面温度が高いときに記録されたものではなく、午後のセッションの後半の夕方に出されたタイムだった。このことから、メルセデスには1分16秒200以上の速さがあると見ていいだろう。


 さらに急きょ、投入された空力パッケージだったため、セットアップもまだまだ改良の余地が残されているはず。むしろ、1回目のテストから数日間でこれだけ変更する力があるということは、開幕戦にはさらに改良されたパーツが投入される可能性もある。


 ただし、空力の開発は時間との勝負。フェラーリがアウトウォッシュ効果を狙ったフロントウイングを1回目のテストから投入して走り込んでいることを考えると、メルセデスの空力の開発は現時点で1週間遅れていることになる。この遅れは簡単には埋めることはできないため、序盤戦はフェラーリ相手に苦戦することが予想される。


 それでも、メルセデスは昨年も序盤はなかなか勝てず、中盤以降に、きっちりと盛り返してきた実力がある。今回のテストでも1回目と2回目でそれぞれ最多のマイレージを走り込んでいた。信頼性はすでに確立されており、その高い信頼性によって得た膨大なデータを元にマシンをアップデートしてくるのは、メルセデスの最大の強み。シーズン中に必ずフェラーリをキャッチアップしてくるだろう。


全チーム戦力分析(3)に続く



(Masahiro Owari)




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