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【F1スペインGPの焦点】希少なオーバーテイクを決め、奮闘した“影のMVP”クビアト、緊張感溢れるチームメイトバトルを演じたハース勢の代償

2019年5月14日

XPB Images

 残り14周のところで再開したレースは、ハースの2台にも注目が集まった。薄いトレッドコンパウンドのタイヤを作動させることについに成功したハースは、週末を通して好調。再スタートの際にはグロージャンが7番手、マグヌッセンが8番手というスタート時のポジションを取り戻していた。

 クルマが速い時に限って何かが起こってしまうチーム、そのまま大切に走って結果を手に入れたいと願っていたはずが、再スタート直後のターン1でイン側のマグヌッセンとアウト側のグロージャンが軽く接触──。グロージャンは大きくコースを外れ、前に出たマグヌッセンは6番手のピエール・ガスリーさえ仕留めようと襲いかかった。

 ふたりがターン3からターン5まで並走したシーンもスペインGPのハイライト。アウト側で踏ん張ったガスリーが無事に6番手を守り切った。

 しかしその後、ハースの2台の間では再び緊張のバトルが発生。DRSを使って奪われたポジションを取り戻そうと仕掛けたグロージャンは、再スタートの際と同じかたちでコース外に押し出され、オーバーテイクに成功しなかったばかりか、タイヤ温度を失い、59周目にはサインツJr.、61周目にはクビアトに抜かれ、最後は10位でゴールした。

 相手を誘うようにストレートで右に大きく進路を変え、ターン1でアウトに押し出す。マグヌッセンが繰り返すこの動きは際どいものであるが、36周目に素早く反応したクビアトはそんなライバルの性癖をちゃんと予想していたのかもしれない。

 何かと“お騒がせ”なドライバーふたりを抱えたハースでは、レース中にも「冷静に走れ」とエンジニアから指示が飛び、ゴール直後にはギュンター・シュタイナーが「すぐに私に会いに来なさい」と無線でふたりに召集指令。グロージャンに対しては「私が解決するから冷静に戻ってきてくれ」と言っているところから、今回はマグヌッセンの方が分が悪い様子である。

 いずれにしても、ハースは2台で7ポイントを獲得して、コンストラクターズ選手権では8位から一気に6位に浮上した。ただ、2台の接触がなければ10ポイント獲得できたことを考えると、シュタイナーとしてもこの状態を放置するわけにはいかない。一方のドライバーがもう少しでも神経質だと騒動は大きくなるのだが、意外とうまくいっているふたり。騒動にならないから、こういうことがよく起こる。気楽な外野にとっては楽しいチームだけれど……。

 それを許容しているジーン・ハースは太っ腹。NASCARのスペシャリストは、ホイール同士が少し接触するくらいのことは“レース”として受け入れる懐の深さがあるのかもしれない──そう思うと、ちょっと嬉しくなってくる。

(Masako Imamiya)





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