F速

  • 会員登録
  • ログイン

【津川哲夫の私的F1メカ】排熱機能だけではない、今どきのF1ブレーキダクト事情

2017年9月27日

 シンガポールGPの市街地コースはほとんどが直角コーナーで成り立っていて、それを直線でつなぐようなレイアウト。と言っても、カナダ的なストップ&ゴーとは違ってハードブレーキングが必要なコーナーは3カ所ほどしかない。この独特の市街地コースで重要になるのが、冷却系だ。


 もともと酷暑のシンガポールの気候に加え、コースはストレートが短く冷却時間が少ない。そこにシリーズ最多となる23のコーナーがあり、左右の直角コーナーが連続的に続く、となればハードブレーキングは少なくとも、ブレーキをしながらコーナーを旋回する時間が多く、ますます冷却が難しい・・・。シンガポールGPはブレーキにもっとも厳しいグランプリのひとつなのだ。


 カーボンディスク&パッドには効率良く仕事をする温度レンジと言うものがある。冷えた状態ならば強力に挟んでも摩擦のミューは上がらず、かなりの高温まで持ちこたえられるが、それでも常時700℃を超えるような使用条件では酸化が起こり、摩耗が早まってしまう。


 そのブレーキ温度を下げるために登場するのがブレーキダクトだ。マシンの4つのアップライトに装着され、前方、またはタイヤ周りの内側から空気流を引き込み、ブレーキディスク、ブレーキキャリパー、パッド等を冷却してホイール外側へ放熱を行う。


 ひと昔前はこれこそがブレーキダクトの使命だったのだが、現在ではここにアクスル・ベアリングの冷却、アップライトに装着されたセンサーなどの電気部品の冷却が加わった。


そこで巨大なホイールドラム(写真でアップライトの上に置いてある巨大なドラムで、これでアップライトを包み込むように装着する)を使ってホイールそのものの温度管理をブレーキの冷却排熱を使って行い、そしてさらにタイヤの空気温度と内圧の管理にまでつなげているというから、その役割の大きさがうかがい知れる。

ザウバーC36のブレーキの上に置かれたブレーキドラム。排熱と温度調整を兼ねた小さな穴がいくつも見える

 写真はザウバーC36のブレーキまわりを撮影したもの。ブレーキディスクのベンチレーションホールから外周に向かって吐き出される冷却排熱は、ドラムに空いている窓からホイール内側に向かって放出される。排熱された空気流はホイールに当てられ、タイヤの内圧温度を調整するのだ。


 このブレーキドラム周辺には他にも多くのエアロガジェットが組み込まれており、ブレーキダクトがダウンフォースを作るトリガーとなって、ドラッグの軽減にもつながっている。現代のブレーキダクトは、なかなか侮れないパーツと言うわけだ。



(Tetsuo Tsugawa)


レース

10/18(土) フリー走行 結果 / レポート
スプリント予選 6:30〜7:14
10/19(日) スプリント 2:00〜2:30
予選 6:00〜
10/20(月) 決勝 4:00〜


ドライバーズランキング

※シンガポールGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ336
2位ランド・ノリス314
3位マックス・フェルスタッペン273
4位ジョージ・ラッセル237
5位シャルル・ルクレール173
6位ルイス・ハミルトン125
7位アンドレア・キミ・アントネッリ88
8位アレクサンダー・アルボン70
9位アイザック・ハジャー39
10位ニコ・ヒュルケンベルグ37

チームランキング

※シンガポールGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム650
2位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム325
3位スクーデリア・フェラーリHP298
4位オラクル・レッドブル・レーシング290
5位ウイリアムズ・レーシング102
6位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム72
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム68
8位ステークF1チーム・キック・ザウバー55
9位マネーグラム・ハースF1チーム46
10位BWTアルピーヌF1チーム20

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
第19戦アメリカGP 10/19
第20戦メキシコシティGP 10/26
第21戦サンパウロGP 11/9
第22戦ラスベガスGP 11/22
第23戦カタールGP 11/30
  • 最新刊
  • F速

    F速 2025年10月号 Vol.4 後半戦展望号