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分析:デグラデーションの小さいロシアGPで、真の実力差が明らかになる?

2016年5月1日

 F1ロシアGPの予選が終了した。ここでは、金曜日のフリー走行のタイムから、決勝の展開を占ってみよう。初日の最速タイムを見る限り、今回もメルセデス勢は盤石に見える。


【最速タイムの順位・チーム別】
1 メルセデス(ハミルトン):1分37秒583(スーパーソフト)
2 フェラーリ(ベッテル):1分38秒235(スーパーソフト)
3 レッドブル(リカルド):1分39秒084(ソフト)
4 ウイリアムズ(ボッタス):1分39秒185(スーパーソフト)
5 マクラーレン(バトン):1分39秒196(ソフト)
6 トロロッソ(サインツ):1分39秒465(スーパーソフト)
7 フォース・インディア(ヒュルケンベルグ):1分39秒795(スーパーソフト)
8 ルノー(マグヌッセン):1分40秒193(スーパーソフト)
9 ハース(グロージャン):1分40秒260(スーパーソフト)
10 ザウバー(ナッセ):1分40秒740(スーパーソフト)
11 マノー(ハリアント):1分41秒080(スーパーソフト)


 とはいえ、ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルの0.652秒のギャップは、実際のペースの差よりも、かなり大きいと見るべきかもしれない。フリー走行2回目で、フェラーリがコース上に止まってしまった周にベッテルは自己ベストを更新しつつあったからだ。また、ベッテルのセクター1とセクター2でのベストは、ハミルトンと比べて100分の数秒しか違わない。あのトラブルがなければ、セクター3でのコンマ3秒の差を、どこまで縮めていたか。残念ながら誰にも知るよしはない。


 いっぽう、メルセデスのニコ・ロズベルグは燃料を軽くした状態でスーパーソフトでのアタックを2回行ったが、いずれもトラフィックや黄旗のため、最後までプッシュして走り切ることはできなかった。ロズベルグはセクター1とセクター2で、それぞれ少なくとも0.1秒を稼いでいながら、セクター3ではペースを緩めてしまった。


 フェラーリのキミ・ライコネンは、気温が低めのコンディションでタイヤを機能させるのに苦労し、ロズベルグより、さらに0.343秒遅いタイムに終わった。しかしベッテルのセクタータイムは、フェラーリとメルセデスの差が、それほど大きくないことを示唆している。


 タイヤの扱いが難しかったためか、金曜のセッションではソフトとスーパーソフトの「逆転現象」も見られた。マクラーレンのジェンソン・バトンはソフトでもスーパーソフトでもほとんどタイムに変わりはなく、彼がソフトで出した最速タイムは、チームメイトのフェルナンド・アロンソがスーパーソフトで記録したタイムを上回った。また、レッドブルのダニエル・リカルドはスーパーソフトでは意味のあるタイムを出していないが、ソフトを履いてスーパーソフトの僚友ダニール・クビアトやウイリアムズのバルテリ・ボッタスよりも速いタイムを刻んでいる。


「すごく難しいよ」とボッタスは言う。「ほんの少しピットでフロントウイングを調整してコースに戻ると、前の周より急激にグリップレベルが上がっていて、調整が的外れになってしまったりするんだ」。


 ソチのコースでは、全般的にタイヤのデグラデーションが低い。むしろ大きな問題は、1周のフライングラップの間、タイヤの温度を適切に保つのが困難なことだ。典型的なパターンは、最初のフライングラップ前半ではフロントタイヤが十分に温まらず、続けて2周目に入るとフロントはずっと良くなるものの、今度はラップの後半でリヤタイヤがわずかにオーバーヒートし始める、というものだ。この傾向は、ダウンフォースを軽くしたクルマほど顕著に現れる。


「僕のアウトラップでコース上に止まったクルマがいて、バーチャルセーフティカーになったんだ。そのせいでアウトラップのペースが遅すぎた」と金曜日を振り返るボッタス。「結果として計測ラップのセクター1では、まだタイヤに熱が入らず、少しタイムロスがあった。セクター2と3は良かったんだけどね。そして次の周のセクター1は良かったものの、2と3はダメだった。アウトラップでしっかりタイヤを温めて、トラフィックにもぶつからなければ、なんとか1周はスーパーソフトを機能させられるかな、って感じだね」。


 ボッタスは計画どおりタイヤを使いこなし、予選3位を手に入れた。


【ロングランペースの順位(スーパーソフト)・チーム別】
1 メルセデス(ハミルトン):1分41秒866(7周)
2 ウイリアムズ(ボッタス):1分42秒740(8周)
3 トロロッソ(フェルスタッペン):1分42秒758(3周)
4 フェラーリ(ライコネン):1分42秒968(15周)
5 フォース・インディア(ペレス):1分43秒752(11周)
6 マクラーレン(アロンソ):1分43秒790(7周)
7 ザウバー(ナッセ):1分44秒277(10周)
8 レッドブル(クビアト):1分44秒432(9周)
9 マノー(ウェーレイン):1分45秒233(7周)
10 ハース(グロージャン):1分45秒428(7周)
※ルノーはスーパーソフトでロングランを行わず


【ロングランペースの順位(ソフト)・チーム別】
1 ウイリアムズ(ボッタス):1分41秒709(7周)
2 メルセデス(ロズベルグ):1分42秒509(5周)
3 レッドブル(クビアト):1分43秒030(5周)
4 トロロッソ(サインツ):1分43秒170(21周)
5 フォース・インディア(ペレス):1分43秒467(11周)
6 マクラーレン(バトン):1分43秒520(9周)
7 ザウバー(エリクソン):1分44秒058(4周)
8 ルノー(マグヌッセン):1分44秒212(20周)
9 ハース(グティエレス):1分44秒503(6周)
※フェラーリとマノーはソフトでロングランを行わず


 こうして見ると、かなり新鮮なランキングではないだろうか。特に目立つのは、ソフトタイヤでのロズベルグ、スーパーソフトでのダニール・クビアトのパフォーマンスが振るわなかったことだろう。例によってトロロッソが金曜のロングランでは好位置につける一方で、ハースは上海からの苦戦が続いているようだ。


 ロングランのペースが良くないことが多いフォース・インディアとマクラーレンは、ここでは好調そうに見える。おそらく彼らはタイヤのデグラデーションが大きくないことに助けられている。


 ライコネンのベストタイムはそれほど速くないものの、スーパーソフトで15周を走り、その終盤に最速タイムを記録している。前回の上海では、ほんの数周でスーパーソフトが限界を迎えたのとは好対照だ。また、リカルドもソフトタイヤで19周のランを行い、最後の周が最速だった。


「ここはタイヤには、かなり優しいコースだ」とバトンは言う。「そして昨年のソチのデータと比べても、今年ここまでの他のコースと比べても、タイヤのもちが、ずっと良くなっている。かなり長いスティントを走れるだろうね」


「誰もが決勝は1ストップか2ストップを考えていると思う。どちらかと言えば、1ストップの可能性が高いかもしれない」


 ハミルトンは、タイヤ交換の回数が少ないことで退屈なレースになってしまう可能性はあるものの、タイヤのもちが良いということは、それだけドライバーが全力でプッシュできる時間が長いことを意味すると指摘した。また、そうなるとマシンの相対的な競争力が、そのまま順位に反映されやすくなる。新しいパワーユニットを投入したフェラーリが、実際のところ、どこまでメルセデスに迫ったのか。このロシアGPで明らかになるかもしれない。



(Translation:Kenji Mizugaki)

この記事は国内独占契約により英 AUTOSPORT.com 提供の情報をもとに作成しています




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