フェラーリのルカ・ディ・モンテゼモロは、自動車メーカーの“共同企業体”であるGPWCが、F1のライバルシリーズをコンコルド協定の期限終了とともにスタートすることはないものの、公平な分配金がなければ別のアクションが起こるだろうと示唆した。
モンテゼモロは独ベルト・アム・ソンターグ紙に対し、コンコルド協定の期限が切れる2007年からF1のライバルシリーズが始まることはないものの、フェラーリ、メルセデス、ルノー、ホンダといった主要自動車メーカーは分配金の見直しがなければF1から撤退する可能性があると語った。
モンテゼモロは次のように述べた。「F1は2008年、ライバルシリーズなしに行われることになると思う。2005年にはこれについての結論が下される。(バーニー)エクレストンはF1に関して色々な権利を持っているが、私にとっては問題のないことだ。コンコルド協定終了後のF1を誰が治めようとも、分配金について大幅な見直しを図らねばならないことは分かっているはずだ。もしも見直しがなければ、私たちの利益のために、2008年以降、新たなシリーズが計画されるだろう」
モンテゼモロの発言は、F1の将来が主要自動車メーカーとエクレストンとの間の摩擦に負けず劣らず、F1の商業権を握るSLEC株を保有する3つのドイツ系銀行とエクレストンの間での法廷闘争に大いに左右されるという見方を示しているようだ。ロンドン高等裁判所は先日、エクレストンがフォーミュラワン・ホールディングズの役員に2人のSLECのメンバーを指名したのは違法だとし、銀行側に役員会で持ち株の多さに見あうだけの多数派を占めることを認めた。とはいえ、この判決は、F1の日常的な運営を統括しているフォーミュラワン・アドミニストレーション(FOA)とフォーミュラワン・マネージメント(FOM)までには及んでいないため、F1の運営上どれほどの効力をもっているかは不透明である。銀行側が、ともにエクレストンの統治下にあるFOMとFOAにおけるさらなる発言権を求めて、再び法廷闘争に臨むこともありうる。
「私の目標は、全収入の80%が各チームと自動車メーカーに分配されるようになることだ。いまはたった45%の分配金しかない」。モンテゼモロはそう述べると、GPWCなる「素晴らしき新世界」を率いるつもりはないことを明かした。「GPWCを率いるつもりはない。適切な分配金を手にできれば、GPWCのマネージメントは別の組織に譲ってもいいと考えている」
SLECの株主代表ゲルハルト・グリブコウスキーも、モンテゼモロの意見に賛成して、銀行側はGPWCシリーズ設立による脅威について真剣に考慮しなければならないと述べている。
SLEC株を保有するドイツ系銀行の1つ、バイエリッシュ・ランデスバンクの代表は、スピーゲル誌に対し、グループ企業のスピード・インベストメンツはF1各チームと手を結ぶことに興味を持っていると語っている。