来シーズン、新天地で新たなスタートを切るラルフ・シューマッハーが移籍先のトヨタについて「マシンを見極める必要がある」ものの「長期的にタイトルを目指したい」と話した。
今シーズン終了をもってウイリアムズからトヨタに移籍し、すでに新チームでのテストにも参加しているラルフ。そのラルフが、移籍の決断に至るまでの経緯、新天地への期待について語った。
Q:今年ケガをした後、あなたはもう走らないのではないかともささやかれました。あの時は、ウワサを笑い飛ばしていたのですか?
ラルフ・シューマッハー(以下RS):ウワサが真実に近づいた時もあったけれど、そういう時期は過ぎ去ったよ。どっちにしても、あまり報道は読まないんだ。僕の方がよく知っているわけだから。僕が「もう走らない」という気持ちを持ったことはないし、ウイリアムズが走るチャンスを奪おうとしたこともない。結局のところ、僕はウイリアムズにとって価値のある存在だったのだと思っている。上海で、再び走ると決めたことが正しかったということははっきりしたと思う。
Q:では「2004年のことは忘れる」という気持ちになるような状況はなかったということですね?
「そうだよ。ウイリアムズには6年もいたんだ。みんな、僕を走らせるため、できるだけいい順位を取らせるために、全力を尽くしてくれたし、僕の方もチームのために全力で頑張った。僕は違うチームと契約をかわしたわけだけど、この契約が切れた時には、また次の契約を結ぶ可能性はあるわけだしね。
Q:トヨタと交渉を始めたのはいつごろだったのですか?
RS:実際にサインするのに先立って、ちょっと早めに話を始めたんだ。いろいろ選択肢があったから、決断には時間がかかった。ウイリアムズからは残留を望まれ、トヨタからは移籍を望まれた。だから、ぎりぎりまで決断を遅らせたよ。2カ月かそこらかかったかな。選択肢はもうひとつあったんだ。そこはマシンはよかったけど、それほど関心はなかった。
Q:ウイリアムズに残留する理由は十分にあったわけですから難しい決断だったでしょうね。
RS:難しかったよ。だって、ドライバーとしては、成功を望むのが当たり前だからね。最終的には僕はトヨタで成功を収めることができると思っているんだ。少なくともそう信じている。でも、ほとんどゼロから始めるわけで、序盤からどれだけうまくやれるかは見えない。ある時点では、ウイリアムズを選んだ方がいいと思ったこともあった。でもその後、マシンの速さの改善具合が前年と比べると思わしくなかったので、新しいことを始める潮時だと考えたんだ。
Q:契約金がモノを言ったのだという人もいますが……。
RS:金のために契約したなんてことはない。契約事項についてはかなり早い時期に合意に達していた。重要なのは、僕が最終的にはタイトルを取ることができるパッケージを求めていたということだ。いろいろな理由で、ウイリアムズとはまた違った可能性があると思うんだ。これまでとは違ったものがある。僕が決断した主な理由は、これは、新たに違ったところからスタートを切るチャンスだということだ。おそらく、これまでよりいい感じでやれるんじゃないかと思っている。
Q:あなたは優勝経験があるわけで、優位な立場に立てるのではないですか?
RS:どうかな。彼らはF1に参戦して3年ほどだ。彼らが学ぶべきものも多いだろうが、同時に僕が学ばせてもらうこともたくさんあるだろう。ヤルノ(トゥルーリ)が加わったことで、僕らは素晴らしいコンビネーションになると思うよ。突然F1での優勝経験のあるドライバーがふたり加入したんだからね。これまでもオリビエ(パニス)がいたけれど。僕が見たところ、ヤルノはものすごく強力なドライバーだ。途中まではアロンソより強かった。僕らは最高のペアになるはずだよ。
Q:どういった部分から、勝てるパッケージだと思ったのですか?
RS:ずばりコンビネーションだね。そこが肝心なんだ。最高のファクトリーがあり、そこでは最高のスタッフが働いており、すべてがそこで作り上げられている。将来のことを考えると、これはものすごく重要だと僕は思う。設備は整っており、彼らの持つ可能性は他チームとは全く別次元のものだ。総合的に見て、彼らは最後には成功を手にするだろう。僕としては強くそう確信しているよ。問題はそれがいつか、というだけのことだ。