40年にわたってパートナーシップを築いてきたフォード自動車とジャッキー・スチュワートだが、その関係は今年いっぱいで解消されることとなった。
伝説的なF1レーサーからビジネスマンへと転身を遂げたスチュワートとフォードは、1964年に始まった正式なパートナーシップを解消することに同意した。当時、フォードがイギリス国内での販売促進のため、スコットランド出身で将来を有望視されていたスチュワートと契約をかわしたのが両者の関係の始まりであった。その後40年に渡り、スチュワートはフォード社内の人々、顧客、市販車にまで世界的な影響を及ぼした。またその活動は、最新型のフォード、ジャガー、アストン・マーチン、マツダ、ボルボへと及び、今日まで続けられた。
「私はもう65歳だし、私もフォードも新たな気持ちで次のステップに踏み出すときだと思った」と、スチュワートは語った。「今は、これまでにないほど忙しい。だが、フォードのような世界的な企業に対し、要求されたとおりに私個人の時間を集中的に割くのは、ますます難しくなっている。他のやるべきこととの折り合いがつかないからだ。我々は妥協するくらいならば、終了するべきだと判断した」
スチュワートは、F1でフォードエンジン搭載車により1969年、1971年、1973年と3度の世界タイトルを獲得し、名声を手に入れた。その後、他に類を見ないような転身を遂げ、フォードや世界的企業を相手に、ハイレベルな助言を与えるコンサルタントとなった。
スチュワートとフォードの関係は、現代のビジネス界において、もっとも長期的なパートナーシップのひとつであり、数え切れないほどのフォード車に影響を及ぼしている。また、1996年には彼の名を冠したF1チーム、スチュワート・グランプリを立ち上げ、フォードエンジンのF1マシンを開発し、その関係は最高潮に達した。
「ジャッキー・スチュワートは、世界レベルにおいてフォードに多大なインパクトを与えた」と、フォードの創設者ヘンリー・フォードの曾孫で、理事を務めるエドセル・B・フォード2世は語った。「彼は、コンサルタント以上の存在であった。彼は我々のビジネスや商品開発のプロセスにおいて、深く関与してきたからだ。彼の優れたものに対する情熱、細部を見抜く目、そしてカリスマ性は、世界中のフォードの人々や顧客へと影響を及ぼした。今からジャッキーのキャリアは、次の章に入る。我々は彼に敬意を示すとともに、素晴らしきフォード大使の役目を担ってくれたことに、心から感謝している」