マクラーレンのタイトルスポンサーを長年務めてきたウエストだが、新しいタバコ広告禁止法が施行されるのに伴い、来年の夏でスポンサーを降りることになったようだ。
タバコ関連のスポンサーを持つチームはみな、代替のスポンサー候補と話を進めていることを認めており、実際、マクラーレンも1980年代半ばから別の方向を探ってきた。しかし、代わりとなるスポンサーが確定したのは、今回のマクラーレンが初となった。ディアジオ社のアルコール飲料ブランド、ジョニー・ウォーカーが、来夏からMP4−20の車体にお目見えすることになりそうだ。スコットランドのサンデー・ヘラルド紙が会社内部の者の発言として報じたところによれば、ディアジオ社は、英国でウエストのブランドを所有しているインペリアル・タバコも交えた話し合いの末に、マクラーレンと3600万英ポンドの契約を結ぶことで合意したという。
新しいEUのタバコ広告規制法は、来年7月31日までは施行されないが、3月の開幕戦オーストラリアGPから、ジョニー・ウォーカーのロゴがマクラーレンの車体に登場するのではないか、という見方もある。ウエストのマクラーレンとの契約は7月末日まで有効だが、前倒しでそれを廃止する件も話し合われたと考えられる。
実際、最近出された経営と財政状況の報告では「2005年後半から施行される法的規制によるF1契約の再調整」に関連して、1億2900万英ポンドの巨費がかかるとされており、インペリアル・タバコは契約の早期終了を望んでいるとみられる。元々の契約終了までに残っていたものの50%をマクラーレンに支払えばすむようにだ。
インペリアル社のスポークスマンは、ヘラルド紙に対し、「イギリスとEUの法律制定に対応して契約を再調整した」と認めた。
タバコ広告規制が厳しくなり続けている一方で、モータースポーツにおけるアルコールの広告規制は、明らかに飲酒運転との関連が考えられるにもかかわらず、比較的ゆるやかなままだ。
現在のところ、バドワイザーのウイリアムズへのスポンサーシップが、最も有名なところだろう。他には今季まではジャガーにはベックスがついており、マクラーレンドライバーのスーツにはワルシュタイナーやフィンランディアのロゴがついていたくらいだが、タバコ広告が禁止されて、タイトルスポンサー活動によって、より大きな露出が期待できるようになれば、そうした例はもっと出てくるだろう。
その考えを裏付けるように、ディアジオ社のスポークスウーマンがヘラルド紙に対して語ったところによると、“タバコ会社との関係がすべて終了した”ことがはっきりしたチームとのみ話し合いが行われただろう、ということだ。