サー・ジャッキー・スチュワートは、シルバーストンサーキットとイギリスGPの代表としてのキャンペーン活動に一息入れて、先週末はインディ500に出かけ、F1がアメリカの地で行われることの重要性について強く語った。
NASCARやIRLといったレースカテゴリーが存在し、人気を集めるのが難しいアメリカにおいて、果たしてフォーミュラワンは必要なのかという問いに対し、スチュワートは、F1に関わっている多くのスポンサーやメーカーにとってアメリカマーケットは間違いなく重要なキーを握っていると語る。
「アメリカはフォーミュラワンにとって極めて重要だ。世界的な自動車メーカーの大手8社、フェラーリ、ルノー、メルセデス、BMW、ホンダ、トヨタ、フォード、そしてジャガーがF1に関わっている。さらにミシュランやブリヂストンといったタイヤメーカー。いずれも世界をまたにかけた巨大企業だ。もしアメリカ市場が無ければ彼らの成功は無い」
「そしてスポンサー企業にも同様だ。ヒューレット・パッカード、HSBC、ボーダフォン、アリアンツ、デュポン、リア、シェル、カストロール、そしてモービル。例えばAT&Tの本社はアメリカにあり、彼らのビジネスの80パーセントはアメリカにおいてのものだ。もしアメリカGPが無かったら彼らがフォーミュラワンに関わる意味は無くなる」
「こういった企業にとって、アメリカ以外の地域は巨大なポテンシャルが残されているということは知っている。だが、彼らがアメリカをベースにしていて、車に関わっている企業がアメリカの市場を失えば、彼らのほとんどはやっていけなくなるだろう。だからF1とそういった企業にとって、アメリカは商業的に非常に重要な舞台なのだ」
スチュワートに対し、これで5回目となるインディアナポリスへの訪問にも関わらず、なぜF1はアメリカになかなか根付かないのかを尋ねた。彼はF1ショーは改善されるべきであると認めている。
「いいレース(が必要)。だがそれは保証できるものではない」とスチュワート。
「2004年、これまでの7レースのうち、6レースをミハエル・シューマッハーが勝っている。これはF1人気を加速させる要因になるとは思えない。しかし競争が盛んなサッカーでは、うまく若者の人気を取り入れている。我々はアメリカで十分な人気を得ているとはいえない。F1のグリッドに2、3人のアメリカ人が着くようになるまで、彼らの注目を得られないだろう」
しかしながら、インディアナポリスはアメリカでのF1イメージを作り上げるのに大きな役割を果たせると語っている。
「誰もが‘インディ’といえばインディアナポリス500のことだと知っている。おじさんやおばさんでも、‘アノラック’や‘ペトロールヘッド’(訳注:主に英国のモータースポーツファンを指す)とは対照的に、インディアナポリスで何が行われているのかを正しく理解している。だからF1をアメリカでもっと有名にするために、インディアナポリスは行くべき場所なのだ」
「そこでの観客と熱狂はとても印象的だった。アメリカは大きい国で、フォーミュラワンは今のところそこで最大のレースというわけではない。ただ、レース界の‘ロレックス’というイメージは持たれている。つまり質が高いという評価は得ているということだ。モータースポーツを熟知しているマニアはアメリカのあらゆる地域からF1レースを見にやってきてくれる。その点ではヨーロッパの熱心なファンと同じだ」