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【F1新車分析】ウイリアムズFW41:ふたつのマシンのDNAを組み込み空力が大幅進化

2018年2月21日

 F1iのテクニカルエキスパート、ニコラ・カルパンチエが各チームの2018年F1ニューマシンを分析。ウイリアムズFW41のサイドポッドやバージボード周辺など気になる部分をピックアップ。


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・白いフェラーリ!
 ウイリアムズは2014年以来ずっと「空気抵抗をできるだけ減らし、エンジンパワーを最大限活かす」空力路線を堅持してきた。しかしそれは同時に、ダウンフォース不足という致命的な欠点に苦しむことでもあった。


 FW36、FW37はメルセデスパワーのおかげもあって、未勝利ながら2014、2015年と選手権3位の座に付くことができた。しかしその後はライバルたちに比べて、シャシー性能が相対的に劣ってきていた。


 そして今回、テクニカル・ディレクターのパディ・ロウは、まったく新しいコンセプトのマシンを投入した。デザイナーはイギリス人のダーク・デビア。


 昨年ロウと同時期にウイリアムズに移籍してきた空力スペシャリストで、現ルノーのエンストンで2008年から13年までジェームズ・アリソンの下で働き、2014年から昨年まではフェラーリの空力責任者を務めている。だからだろうか、真上から見た新車FW41のサイドポッド構造は、まさに昨年のSF70そのままと言っていい。

2018年ウイリアムズFW41、2017年フェラーリSF70

 技術規約ではサイドインパクトストラクチャーは、2本のカーボン製バーを装着することが義務づけられている。1本はサイドポッド基部に、もう1本は空気取り入れ口の上に付けるのが定石だ。


 それをデビアはかなり位置を下げ、整流効果を持つデフレクターの役割を担わせた。ハースVF18でも同様の工夫が見られるが、その狙いはサイドポッド下部のスペースを大きく空けることで、その結果フロア下部への空気の流れが最適化される。


 サイドポッド開口部の面積が非常に小さくなったのも、FW41の大きな変更点である。空気抵抗を減らす上で、大きな効果が見込めるはずだ。ここまで小さくしても冷却に問題ないと判断できたのは、おそらくサイドポッド付近の空気の流れが非常に整ったものにできたからだろう。きれいな気流なら、より少ない流量でも十分に冷えるからである。


・「ウイリアムズの空力は、大変貌を遂げた」
 空気取り入れ口を包み込むデフレクター基部に、台形のパネルが取り付けられているのもフェラーリと同じソリューションである。このパネルはフロントタイヤの真後ろに位置することで、タイヤの回転で生じる乱流の影響からサイドポッド周辺を防ぐことを目的としている。

2018年ウイリアムズFW41、2017年フェラーリSF70


2018年ウイリアムズFW41

 レッドブルも昨年のシンガポールGPで、同様のデバイスを試している。とはいえ形状としては、フェラーリの完コピといわざるをえない。しかしパディ・ロウは「デビアが去年フェラーリで開発したものを、本人が効果的と判断してウイリアムズにも採用したのだ」と、似ているのは当然という。


「去年の3月に着任以来、彼が明確な開発方向を示したことで、空力部門は大きく変貌を遂げたよ。もしFW41が素晴しいパフォーマンスを発揮するとしたら、その多くはデビアのおかげと言っていい」

2018年ウイリアムズFW41

・2本の支柱の秘密は?
 フェラーリの影響はそこに留まらず、リヤウィングの支柱も2本仕様になった。構造的には1本でも十分なところをあえて2本にした訳は、ストレートの高速走行時にリヤウイングが後傾する仕組みにして、空気抵抗を減らすいわゆるストール効果を狙ったと思われる。


・メルセデスのDNA
 一方でパディ・ロウはメルセデスの技術責任者だったこともあり、FW41にはメルセデスのDNAもしっかり組み込まれている。顕著な例が、マシン両脇に生えた2枚の奇妙なデバイスで、メルセデスW08のそれと酷似している。
 すでに昨年のオーストリアGPで、テストしたものだ。コクピット前方から出て、上述の台形パネルに繋がる2枚の湾曲したパーツは、マシン後部へ流れる気流を整える狙いがある。


・フロントディフューザー?
 メルセデスの影響は、マシン前部にも見られる。ノーズの両脇を包むようにカーブを描き、細くなった先端はほとんどノーズから飛び出ている「ケープ」と呼ばれる空力パーツ。その形状はまるで、ディフューザーをマシン前部に取り付けたかのようである。

・今後の伸び代十分のバージボード周辺
 バージボードもメルセデス風に複雑化している。すでにメルセデスは昨年から、バージボードを何枚かのセグメントに分割することで、整流効果を向上させようとしていた。


「去年の技術規約が、バージボード周辺の変更に大きな制限を設けなかったおかげで、さまざまなアイデアが花開いた」と、ロウ。


「その流れは、今年さらに先鋭化するだろう。われわれも大きく変化させたが、まだこれで完成ということではまったくない。規約自体、まだ一年しか経ってないからね」

・全体的な洗練
 FW41は全体的に洗練されたマシンで、最新トレンドにようやく追い付いたといえる。たとえばフロントウィングも、6枚エレメントが採用された。『Sダクト』ももはやカウル上に隆起は見られず、よりマシンに一体化したものとなっている。


FW41はノーズとモノコックの接合部分の裂け目が、かなり大きい。昨年型以上にそこで気流が剥がれる恐れが大きいだけに、Sダクトのパフォーマンスが向上している必要がある。


・生まれ変わったディフューザー
 FW40では幼稚なレベルと言ってもよかったディフューザーも、大きく生まれ変わった。チーム発表の解像度の低い映像でも、水平垂直両方の仕切りが増え、輪郭がより角度の付いたものになっていることがわかる。さらにギヤボックスのケーシングも、アルミ製からカーボン製になったようだ。

・ウイリアムズ復活の牽引役となる?
 ウイリアムズは昨年導入したミニTウィングを、新車にも残している。
「われわれが先鞭を付けた技術で、ライバルたちも追随するはず」と、ロウは胸を張る。
 一方、新デバイスのコクピット保護システム『ハロ』は、ハース同様まだ最終仕様ではなさそうだ。
 長期低落傾向が続くウイリアムズにとって、FW41は力強い牽引役となるのか。その意欲的なマシン作りの姿勢からは、かなりの期待ができそうだ。あとはランス・ストロールとセルゲイ・シロトキンの若手二人が、その性能を十二分に引きだしてくれることを期待するしかないだろう。



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(Translation:Kunio Shibata)




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