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フェラーリ不利説を覆すベッテルの好走も、熱戦を制したハミルトンに軍配【今宮純の視点】

2017年8月29日

 2017年F1第12戦ベルギーGPは、ミハエル・シューマッハーの68回PPの大記録に並んだルイス・ハミルトンが優勝。ニッポンのF1のご意見番、今宮純氏がベルギーGPを振り返り、その深層に迫る──。 


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 祝・68PPハミルトン、大記録に並んだ翌日に58勝目、サマーブレイクが明けたベルギーGPは彼の独り舞台。


 200戦でシューマッハーと同数のPP、獲得率34%は3レースに1回という驚異的なもの。ちなみにシューマッハーの68PPは06年フランスGP、242戦目だ。さらに掘り下げると初PPは94年アイルトン・セナ没後のモナコGP、91年デビューから“42戦目”だった。


 こうしてみるとシューマッハーは初PPから200戦あまりかけて達成、ハミルトンも200戦目で達成、互いの大記録に“偶然性”を感じる。


 1分42秒553(平均245.867KMH)は現スパ・フランコルシャンのコース新記録。このQ3ハイパーラップではセクター2にある高速プーオン・コーナーを8速のままクリアー(!)。昨年のセクター2最速タイムをなんと3.387秒も短縮、TV画面の早回しを見ているようだった。


 14年は気温13度、15年は24度、16年は26度、寒暖差の激しいスパだが今年は22度。雨雲もなく、スタンドも自由席も満員、崖のような斜面にはオランダ人がいっぱい。開催50回を数えるスパF1にこれほど観客が詰めかけたのは久しぶり、シューマッハー全盛期以来だ。


 天気よし、コースよし、満員の熱気よし、いいレースになりそうな条件がそろった。スタートからハミルトン対セバスチャン・ベッテルのマッチレース、1.5秒プラスの間隔で付かず離れずに追う2位ベッテル。フェラーリ不利説がレース前に言われていたが、金曜からライコネンとベッテルはコース上できっぱりと否定した。



2017年F1第12戦ベルギーGP ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルのバトル

 10周目あたりからハミルトンの左前輪にブリスター症状が出始め、12周目にウルトラソフトをソフトに交換。ベッテルは14周目に同じソフトへ。インラップではベッテルが0.5秒速く、アウトラップではハミルトンが0.3秒速く、両者互角。


 その直後15周目にハミルトンが1分50秒380、ほぼ1秒もダウン。16周目も1分50秒303、セクター2でリズムを狂わせ中速コーナーで膨らむラインミス。


 ベッテルが0.949秒差、0.946秒差にまで接近。何が起きているのか。OAされる無線はなかったが小さなミスによってコーナー速度が落ちこみ、それによってタイヤ温度が変化、何らかのハンドリング影響があった(のではないか)。


 しかし、さすがハミルトン、18周目には1分48秒台ペースに戻し、再び1.5秒プラスのギャップを保つ。44周レース中盤にあったこの攻防、チャンピオンシップを競う二人ならではの濃密さだ。


 フォース・インディア同士討ちによりセーフティカー(SC)が導入された30周目にピットイン・ラッシュ。ハミルトン2秒9、ベッテル4秒9、二人はソフトとウルトラソフトに選択が分かれた。タイヤの選択に注目が集まったが、この“2秒ロス”も気になった場面ではある……。


 そしてSC解除となった33周目、リーダーは何度もペースを上下、ブランシモン・コーナーから急加速。ギャップ・コントロールの駆け引きに関しては、ハミルトン自身こういう状況での経験値がすこぶる高い。トップラン中にSCを追尾走行するケースが誰よりも多く、その実戦テクニック(リーダーに許される権利)を行使する奥義を身につけている――。


 1コーナーからオー・ルージュにかけて背後にベッテルをひきつけるだけひきつける。後方乱流を浴びせる。十分なスリップストリーム(3〜4車身間隔でのトーイング効果)を使わせない。ベッテルはレディオン出口で横に並び出るしかなかった。サイド・バイ・サイドになればケメル・ストレート加速勝負。メルセデスの瞬発力“PUフルモード”によってフェラーリを振り切り、レ・コンブに突進。


――自分との闘いである予選も、相手との闘いになる決勝も勝ち抜いたハミルトン。表彰台であまりはしゃがないときの彼は、全身全霊全力を出しきったとき。ベッテルもそう感じたのではないか。クライマックスの秋へ、両雄決戦に絞り込まれた晩夏スパ・フランコルシャン。

2017年F1第12戦ベルギーGP ルイス・ハミルトンが優勝、セバスチャン・ベッテル2位、3位はダニエル・リカルド



(Jun Imamiya)




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