――トラブルが出た後、またすぐに走り出しました。
中村「トラブルが出た場合は、パフォーマンスを犠牲にしてでも、ほかのテスト項目を優先して、走らせることに決めていたので、想定通りトラブルが出たときは、使い方を変えて再びマシンを送り出しました。また昨年、いろいろとトラブルを経験した分、そのような状況になってもクルマを走らせるという観点では成長したのかなと思っている。運用が当然、慣れてきたので、何か不具合が起きても、メカニックたちはどこをどうしなければならないということをかなり理解していいます」
――初日にステアリングを握ったバトンの評価も高かったですね。
中村「テスト走行後のデブリーフィングでも、ジェンソンから「デブロイがかなり改善された」という言葉をもらいました。今年のパワーユニットを製作するために必死に頑張ってくれたHRDさくらの開発スタッフ、ミルトンキーンズのメンバーたちも、それを聞いて思わずニコーっと喜んでいたので、良かった。でも正直、まだいまパワーユニットはわれわれが目標としているレベルには達していない。もう少し信頼性を上げつつ、パフォーマンスも改善したい」
――デプロイが改善された理由はなんですか。
中村「デプロイが改善された大きな理由は、ターボが弱かったので、その部分を大幅に変えました。MGU-Hに関しては信頼性に関わる部分は見直しましたが、特にモーター自体はスペック的にほぼ目標に達しているものなので、あまりいじっていません」
――ライバルに関しては?
中村「このテストの最大の目的は、今年仕様のパワーユニットの機能確認と、今年やりたいと思っている制御系の確認をすること。まだほかのチームのパワーユニットをどうこう言える状況ではない。まずは自分たちの目標としているレベルに持っていくこと。必ずできると思っています。ただ、ほかのパワーユニットの状況もなんとなくウワサは聞いていて、われわれが改善する分、ライバルたちも伸びてくるので、当然厳しい戦いは続くことは覚悟しています。(昨年、最下位だった)マノーもメルセデスを積んでくるので怖い存在。したがって、底上げされた全体的に接近した戦いになると思いますが、なんとかその上には行きたい。とはいえ、いま僕たちがどの位置にいるのかはいまは気にしていないし、正直わかりません」