「デプロイメント(回生エネルギーの配分)の問題は相変わらず抱えていまして、エネルギーの収支が最後に合わなくなる。特にレースペースだと、電気を全部使ってしまうわけにもいかなくて、1周で(回生エネルギーが)戻ってこないと次の周に電気がまったくなくなってしまってレースにならない。今、できることはすべてやりきったと思うので、この位置が今、我々がいる位置なんだと思いますし、(上位との)ギャップも改めて分かりました。低速から高速コーナーまで全部ある、この鈴鹿が一番難しいところだと思っていましたし、それはシャシーにとっても同じ。ここで勝てるのがチャンピオンになれるチームだと思いますし、早くそこに行けるように開発ペースを上げたいと思います」
新井氏は、謙虚に今回の結果を受け止めているようだった。
「成績はレースの結果がすべて。我々の開発、そしてチームの努力がもっと必要ということを強く感じました。来年こそはという気持です。原因はいろいろ分かっています。技術的な話はここではしませんが、それに対してきちんと対応して行かなければなりませんし、それを克服するのは我々のメインの、一番の課題だと思っています。頑張りたいと思いますが、やはりファンのみなさまの前で(ライバルに)抜かれるというのは残念です」
この鈴鹿の結果を受けて、今シーズンは残り5戦。どのような課題で臨むのか。
「残り5戦に対して、どれだけ新しい技術を入れていけるか。それから、セットアップがうまくできるか。それから来年に向けて、何を試せるのか。トークンも残っていますし、クルマ全体としてもやることがたくさんあるので、どのタイミングで入れるかというのを相談しているところです。少しづつ進歩させるしかない。F1の世界は甘くはないので、急に何か良くなることはないと思うので、やれることをやっていきたいと思います」
母国である日本GPで、改めて課題とギャップが浮き彫りになってしまったマクラーレン・ホンダ。アロンソの悲痛な叫びに、残り5戦でどこまで応えられることができるのか。ホンダPUが進化するのと同じく、ライバルもまた、大きく進化を遂げる。レースは進化することが目的ではなく、相手を追い越さなければ勝つことはできない。優勝したルイス・ハミルトンの後ろ姿が、また遠く感じた鈴鹿だった。