まずバルテリ・ボッタスはハードタイヤを履いてコースイン。1分37秒台前半のタイムを5周にわたって計測しています。この時のデグラデーション値は0.092秒/周でありました。一方、ボッタスがミディアムを履いた時は1分36秒台後半で走りはじめ、5周目にもほぼ同じタイムを計測しています。つまり、ボッタスのデグラデーション値はほぼゼロに等しいということになります。いずれも5周程度の連続走行なので、ロングランとは言えない内容ではありますが、チームメイトのフェリペ・マッサに比べると、非常に上手くタイヤを使えていることが分かります。
マッサはミディアムタイヤを履き6周の連続走行を行いました。彼はボッタス同様1分36秒5で走り始めるのですが、1周ごとにペースを落とし、6周目には1分38秒0を記録しています。ここから計算すると、マッサのミディアム時のデグラデーションは0.253秒/周と非常に大きいもの。ボッタスは決勝でも上位進出を狙えるかもしれませんが、マッサはミディアム装着時に苦しむことになる……そう読むことができると思います。
前回優勝のフェラーリは、セバスチャン・ベッテル、キミ・ライコネン共にミディアムタイヤを履いてロングランを実施しました。このロングランから、ベッテルは0.156秒/周、ライコネンは0.095秒/周と、若干大きめという印象です。
逆に前戦2位表彰台だったレッドブルのダニエル・リカルドは、実に素晴らしいロングランを行いました。ペース自体はそれほど速くないものの、ミディアムタイヤを履いて8周の連続走行を行い、デグラデーションはほぼゼロ。予選では7番手に終わってしまいましたが、このタイヤへの優しさを活かし、戦略の自由度を活かして上位進出を狙える可能性を感じさせます。そういう意味ではトロロッソのカルロス・サインツJr.のペースも秀逸。デグラデーションは0.136秒/周と、ミディアムタイヤとしてはまずまずの数値を残しています(一方、チームメイトのマックス・フェルスタッペンは、0.164秒/周と若干高めでした)。