その設定に関して、この日のアロンソは細かな要求を無線を通して行なっていたのだ。長谷川総責任者によれば、「普段は『デプロイが足りない』と言ってくることが多いフェルナンドが、今日はどちらかというと、『ここはもう十分だから、そこまで必要ない』というコメントが多かった」という。

　フリー走行後、アロンソもこう語っている。
「一番の問題はどのレベルのダウンフォースを選択するか。コーナーを速くしてストレートでポジションを守るか。あるいはコーナーで詰められてもストレートで引き離すか。難しい判断だ」

　金曜日に5基目のESを投入したアロンソは、すでに5番手降格が決定。土曜日にはさらなるパワーユニット交換を予定しているため、ペナルティの数はさらに増える。つまり、この日のアロンソは1周をただ速く走るだけでなく、後方からスタートすることを見据えながら、セットアップを煮詰めていったのだ。

　そのアロンソからコンマ5秒遅れの16番手に終わったバンドーンは「一番いいセッティングで走ったときに渋滞にはまってしまったからで、フェルナンドとの差はそれほど大きくない」（長谷川総責任者）

　チームの母国グランプリで、充実した初日を送っていたマクラーレン・ホンダだった。

（Masahiro Owari）

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