ところが、今回は金曜日発生した。金曜日にマシンに搭載しているパワーユニットは、多くの場合、レースで使用する最新のものではなく、すでにレースに何度か使用したユーズドのパワーユニットを搭載している。
今回、アロンソ車に搭載されていたパワーユニットもマレーシアGPのレースで使用されたもので、たとえトラブルなかったとしても、フリー走行後に日本GPとアメリカGPで使用したものに交換する予定だった。したがって、アロンソがペナルティを受けることはない。
今回のトラブルにホンダがそれほど動じていない理由がもうひとつある。それは、この問題はホンダとして、すでに対策を施しているからだ。
今回、問題が起きたアロンソのパワーユニットがマレーシアGPのレースで使用したものだと説明したが、それは最新の仕様ではなく、ひとつ前のスペック3.0である。これは夏休み明けのベルギーGPから投入されたが、そのベルギーGPの初日にじつは同じERSの冷却水の水漏れを発生させていた。そこでホンダはスペック3.5を導入するにあたって、その点を改善していたのである。
金曜日のフリー走行2回目では、アロンソと時を同じくして、ジェンソン・バトンもガレージ内にとどまり、その後走行することなく、セッションを終えた。ただし、理由はアロンソとはまったく関係がない。
「エキゾーストパイプの耐熱材が一部剥がれて、エキゾーストエリアの温度上昇を検知したためですが、同時にギヤボックスの温度も上昇していたため、チームは大事をとってマシンをガレージに戻して、走行を断念したようです」と長谷川総責任者は語っており、これもマイナートラブルだった。
理想的な一日ではなかったが、どちらも致命的なトラブルではなかったのは、不幸中の幸い。パワーユニットを積み替えて臨む土曜日の予選に期待したい。
(Text : Masahiro Owari)