XPB Images

　ドライバーにクルマを走らせること以外の仕事をさせるのは、チームにとって時にはかなり難しかったりもする。それも彼らがクルマを降りた直後となると、なおさらだ。

　だが、レースの他にもドライバーたちがやるべき重要な任務はたくさんある。そして、それらが重要なのは、多くの場合、お金が関わっているからだ。メディア対応、スポンサーのイベント、写真撮影といった仕事は、どれも少なからぬ金額を払っている誰かに、価値ある見返りを提供するために必要なことだ。それはめぐりめぐって、クルマを作る資金やドライバーのサラリーの支払いにも寄与している。

　しかし、よほどうまく言い含めない限り、ドライバーはそれを理解しようとしない。そして、彼らには無意味としか思えない何かをしてくれと頼まれると、露骨に嫌がったりすることもあるのだ。

　あるチームのプレスオフィサーが、こんな話を聞かせてくれたことがある。そのチームでは、毎年シーズン開幕前にドライバーを呼んでミーティングを行い、彼らの巨額のサラリーは、プレスオフィサーの指示に黙って従うことに対して支払われているのだと説明していた。グランプリの週末にクルマを走らせることだけが仕事なら、彼らはノーギャラでも契約しようとするだろう。つまり、ドライバーはあまり楽しくないことも引き受けるからこそ、報酬を受け取れるのだ。結局のところ、これもひとつの職業なのである……。

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