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【津川哲夫の私的F1メカチェック】去年までの弱点、低中速域を改善させたミニウイングに見るメルセデスW10の開発哲学

2019年6月27日

 2019年F1シーズンを8戦8勝で席巻し続けるメルセデスW10。そのマシンの速さの秘密は、堅実かつ細部にまで手を抜かないエンジニアリングの積み重ねにありそうだ。先進開発を地道に続けてきたことに加え、あくまで基本に忠実で奇をてらうことのないデザイン哲学。そのフィロソフィに沿ったロングタームの開発計画を許容するチームの体力、資金力、まさにリソースの豊富さが現在のアンタッチャブルなポジションを造り上げてきた。


 フロントアップライトの軽量トラス化、ロールロックのフロントサスペンションと一本トーションバーなど斬新な設計も見られるが、それもすべて理論的に筋の通った開発だ。


 さらにメルセデスW10の特徴的なロングホイールベースと、極僅かなレーキ角でのエアロ特性は安定性と低ドラッグを誘う。しかし一定したライドハイト(車高)を保つコンセプトは、必要に応じたエアロバランスの調整が難しい。


 特にメルセデスW10はライバルメーカーを上回るハイパワーパワーユニット(PU)を搭載しており、ディフューザーの数多いスピリッターやリヤ周りでも、何とかエアロの向上を得ようとする努力が見える。


 その努力が見えるのが、このメルセデスW10のバックショットだ。リヤサスペンションのアッパーアームの直下には、コードが狭い細長で縦横比の大きいミニウイングが設置されている。それもエッジにはウイングレットの折り返し付きだ。またロワアームの直下にも同じくミニウイングが備え付けられ、それも翼断面がロワアームの形状に合わせてねじれを持つウイング形状をしている。


 このミニウイングはドーサルフィン後端のミッドウイングに似ているが、存在の意味合いは多少違う。もちろんこのミニウイングだけでも数百グラムのダウンフォースは発生するだろうが、現実にはサスペンションアームの隙間フラップの意味合いが強そうだ。


 メルセデスW10のリヤサスペンションアームは他より厚みがあるために、この部分を抜ける空気流の後方処理は難しいが、このミニウイングで後方渦流の抑止と整流を請け負っていると推測される。もちろん、アーム下面での空気流の増速もありそうだ。


 サスペンションアーム後方の空気流の積極的な制御がリヤウイング効率とディフューザー効率を向上させるはずで、ならばリヤエンドのエアログリップの向上、すなわちコーナリングとトラクションの向上が望める。


 まさに今シーズンのメルセデスW10の走りの特徴である。低中速コーナーでの昨年からの大幅な向上がこのエリアの開発と関連付けられる。もちろん、このミニウイングだけの効果ではないだろうが、ここまで完成域にあるマシンをさらに向上させる難しさを、重箱の隅の小さな宝物を見つける開発を繰り返してきたことで克服した、その証明の一旦がこのミニウイングの存在と言えそうだ。



(Tetsuo Tsugawa)




レース

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