「ペナルティ判断を一貫させてほしい」と訴えるドライバー
マックス・モズレーがFIA会長を務めた時代、フェラーリ最優先の不当なペナルティ操作は、モンツァの予選でフェリペ・マッサの100メートル近く前方を走っていたフェルナンド・アロンソ(当時ルノーに所属)に「マッサのアタックを妨害した」というペナルティを科す茶番さえ演じてみせた。当時と比べれば興業のための操作はなくなり、ドライバー出身者がスチュワードの一員となるかたちで事態は改善した。
それでも、ドライバーの声に耳を傾けなかったがゆえの“誤審”は多い。今シーズンだけを見てもバーレーンGPのスタート直後、1コーナーのルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスの接触で、ボッタスだけがドライブスルーペナルティを負ったのは理解できない──ウイリアムズのフロントがロックしたのは、ハミルトンが思いがけず右側に寄せてきたのに対して急激な制動が必要になったからだ。その手前でインに飛び込んだ時点ではウイリアムズは完璧にボッタスのコントロール下にあった。彼のブレーキングが破綻していたわけではないし、接触を避けるためのスペースはハミルトンの左に大きく開けていた。
バーレーンのドライバースチュワードはデレック・ワーウィック。彼がスチュワードを務めるレースでは、少しでもイギリス人ドライバーにかかわると即座にペナルティが下される。昨年のアブダビGPではマックス・フェルスタッペンが5秒加算、ドライブスルーという2回のペナルティと合計3ポイントのペナルティポイントを科せられたが、「コース外に出てアドバンテージを稼いだ」相手はジェンソン・バトン。青旗無視の相手はハミルトンだった。フェルスタッペンに非が無かったわけではないが、他のケースでは同様のペナルティが即断されているわけではない。小さなチームのドライバーたちが「ペナルティ判断を一貫させてほしい」と訴え続けているのには、こうした理由がある。