さて、予選とフリー走行3回目で速さを見せたウイリアムズは、決勝ではまったく振るいませんでした。ボッタスは序盤3番手を走っていたものの、ロズベルグとキミ・ライコネンに先行され、結局5位。ウイリアムズの今回の敗因は、デグラデーションの大きさです。1〜3全てのスティントで、ボッタスのペースには明らかなデグラデーションの傾向が見て取れます。対するメルセデスAMGはほとんどデグラデーションの傾向を見せず、フェラーリはミディアムではデグラデーションを発生させているものの、ハードタイヤではその兆候はありません。しかし、ウイリアムズはいずれのタイヤでもデグラデーションを発生させたことで、ピットインの度に順位を落とす結果となってしまいました。
そういう意味では、フォース・インディアも同様。フォース・インディアは今回、ニコ・ヒュルケンベルグが堅実に走り、6位でフィニッシュ。ただ、特に第2スティント(最初のタイヤ交換後から2回目のタイヤ交換まで)のデグラデーションはウイリアムズ以上に大きく、先頭からは55秒あまり遅れてのゴールとなりました。しかし、最初のタイヤ交換を早めに行ったことで、ロマン・グロージャンとパストール・マルドナドの2台をまとめてアンダーカットするのに成功し、これで6位のポジションを手にすることができました。ちなみにロータスは、ヒュルケンベルグには敗れたものの、2台揃って入賞。資金難によりホスピタリティエリアも使えず、エンジンの到着が遅れるなど大変な状況だったにも関わらず、素晴らしい成績を残しました。彼らにとっては、勝利にも等しい結果だったのではないでしょうか。
このように、各所でオーバーカットやアンダーカットが頻発したのが、今年の日本GPの特徴だったと言えると思います。まあこれは当然と言えば当然。鈴鹿サーキットは、マシンにとってもドライバーにとっても、そしてタイヤにとっても世界一と言えるほど厳しいコース。そのため、デグラデーションの発生確立は高まります。デグラデーションが発生すればするほど、新品タイヤ装着時と使い古したタイヤのペース差が大きくなりますから、アンダーカットが成功しやすくなるのです。