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【F1第7戦カナダGPの焦点】理不尽に勝利を取り上げられたベッテル。あまりに定点的で杓子定規だったFIAの裁定

2019年6月11日

 ハミルトンから見れば「コースオフしたマシンが危険な戻り方をした」。ベッテルにとっては「マシンのコントロールを取り戻すのに精一杯。ルイスが後ろにいることは分かっていたけれど、グリーンを走ってグリップを失い、クラッシュを避けるのに必死で、ミラーで彼の位置を確認できたのはマシンの動きがある程度落ち着いてからだった」

 ミスを犯したのはベッテル。しかし接触を避けるために2台の位置関係を把握できたのはハミルトンの方で、彼は賢明にアクセルを緩め、回避行動を取った。

 スチュワードはこの“出来事”を審議し、ベッテルが「安全ではないかたちでコースに戻り、他のドライバーをコース外に押しやろうとした」として5秒加算のペナルティを科した。レースの状況から考えて、それはベッテルから勝利を剥奪することを意味していた。

“ベッテルがミスしたのだから当然”という見方があれば“レーシングインシデントなのに厳しすぎる”という見方もある。たしかなのは、最高のレースに水を差した裁定が、誰も幸せにはしなかったことだ。

 スチュワードはすべてのデータを検証することができる。彼らはF1のルールに忠実に裁定を下したのだろう。しかしそれは、あまりに定点的で杓子定規で、高速で戦うドライバーの現実にも“最高速のバトル”を求めるファンの気持ち=F1の存在意義にも、合致しない。

 多くのドライバーやF1経験者が唱える意見のなかでも、マリオ・アンドレッティ氏の見解にすべてが集約されている。

「スチュワードの仕事はあからさまに危険な動きにペナルティを科すことであって、ハードに戦った結果の“正直なミス”を罰することではないと私は思う。私たちの偉大なスポーツにおいて、カナダGPで起こったことは受け入れ難い」

 極限の状況のなか“安全確認しないでコースに戻った”ことが勝敗を覆すほど重大な罪なら、身近な例を振り返ってみよう──。中国GPのスタート直後、ターン6で起こったマクラーレン2台とダニール・クビアトの接触事故は、コース外に膨らんだランド・ノリスが“安全ではないかたち”でコースに戻ったのが引き金で、チームメイトを避けるためカルロス・サインツJr.が反応してイン側に動いた結果、アウト側に1台分の十分なスペースを残していたクビアトと接触したものではなかったか?

 たしかにマクラーレンはその場で2台がリタイアしたが「ペナルティは対象となる行為が引き起こした結果や被害(あるいは損得)ではなく、行為そのものを審議したうえで下される」と、チャーリー・ホワイティングは何度も説明してきた。ところが100%の責任を負わされ、ドライブスルーという重いペナルティを科せられたのは、イノセントなクビアトだった。彼自身、最終的にはリタイアを余儀なくされるほどの傷をマシンに負っていたにもかかわらず。

XPB Images

 ゴール後も怒りを鎮めることができないベッテルの態度は、子供じみていたかもしれない。時には、それが過ぎることもある。でも、それもベッテルの魅力のひとつであり、今回ばかりは「ゴール後には何にも参加したくなかった」という彼の気持ちにも共感できる。

「ルイスとシャルルと、メルセデスを代表して表彰台に上がる人。彼らに対する敬意を示すために僕が参加したことは、みんな理解してくれたと思う」

 私たちには“感情をコントロールできない”ドライバーも必要なのだ。とりわけ、その怒りが全力を注いだレースの末、理不尽に勝利を取り上げられた結果である場合には。

(Masako Imamiya)





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