モナコGP決勝レースで、Lucky Strike B・A・R Hondaのジェンソン・バトンが、第4戦サンマリノGPに次ぐ、今季2回目となる2位でフィニッシュ。7番グリッドからスタートの佐藤琢磨は、完璧なタイミングでロケットスタートを決め、4番手にジャンプアップしたものの、3周目にエンジントラブルでリタイアを喫した。
朝のうちは雲に覆われていたモナコ市街地サーキットの上空だが、昼過ぎからは晴れ間が広がった。午後2時の時点で気温22C、路面温度42C。前日予選時とほぼ同じコンディションとなった。
全車がフォーメーションラップを終え、スタートのシグナルが消えるのを待つばかりとなった直後に、O・パニス(トヨタ)のマシンがエンジンストールし、赤旗中断。スタートは5分ばかり延期になり、やり直しとなった。そして2度目のスタートで、7番グリッドからスタートの佐藤が、ものすごいダッシュを決めた。1コーナーまでに前を行く2台のフェラーリをあっという間に抜き去り、バトンにも並びかける。そのバトンはスタートで3番手のF・アロンソ(ルノー)に先行されており、ポジションを一つ落とし3番手。佐藤は4番手で、スターティングラップを終えた。
ところが2周目以降、佐藤のマシン後部から、ときおり白煙が上がり始める。必死でマクラーレンのK・ライコネン、2台のフェラーリを抑える佐藤だが、ペースはみるみる落ちて行く。そして3周目のプール手前で、猛烈な白煙を噴き上げ、コース脇にマシンは止まってしまった。そして、その白煙のためD・クルサード(マクラーレン)にG・フィジケラ(ザウバー)が追突。4周にわたって、セイフティカーが導入された。
レースの折り返し点を過ぎた39周目。バトンは1回目のピットインでM・シューマッハ(フェラーリ)に先行され4番手に落ちたものの、ほぼ同ペースで周回。3秒前後の差で、フェラーリを追っている。42周目、トンネル内で周回遅れのR・シューマッハ(ウィリアムズ)を抜こうとした2番手走行中のアロンソが、ガードレールにマシンをヒットさせクラッシュ。これでバトンは3番手に復帰。コース上には再び、セイフティカーが導入された。その間にバトンは、2回目のピット作業を素早く終えた。そして45周目。セイフティカーのすぐ後ろを走っていたM・シューマッハが、トンネル内でブレーキロック。アロンソとほぼ同じ場所のガードレールに左リヤタイヤを当ててスピン。なんとかピットに戻ったものの、マシンのダメージは大きく、そのままリタイアとなった。
レース終盤、1分16秒台で走行しているのは、トップのトゥルーリとバトンのみ。3番手のR・バリチェロ(フェラーリ)とは50秒以上の差が開いており、焦点はこの2人の優勝争いに絞られた。ゴールまであと3周となった74周目。トップのトゥルーリとバトンの差は、1秒を切った。最終周にはコンマ6秒まで迫ったが、2台の前には周回遅れのマシンが現れる。シケインで周回遅れのマシンをパスしたものの、結局トゥルーリが逃げ切り、そのままチェッカー。バトンは僅かにコンマ4秒及ばずサンマリノGPに次ぐ2位フィニッシュとなった。
ジェンソン・バトン 2位
「僕にとってはものすごくタフで、エキサイティングなレースだったけど、家でテレビを見てくれたファンのみんなも楽しんでもらえたよね!2位でフィニッシュラインを通過した時は、最高の気分だったよ。でも、1位から僅か一秒も離れていなかったから、悔しさも最高だった。スタートはあまり良くなくて、アロンソに前に行かれてしまった。その後も周回遅れに引っかかったり、特にダマッタに3周半もの間行く手を阻まれたのには、本当にイライラさせられたよ。彼らを抜き去った後、ようやくヤルノ(トゥルーリ)の追撃体制に入ることが出来たんだ。今日は、レース戦略も素晴らしかったと思うけれど、どうしても彼を捕まえることだけは出来なかったね」
佐藤琢磨 2周リタイア
「あんな素晴らしいスタートを決められたのにリタイアしてしまい、とにかく残念です。でも、我々のレースでのペースが良かったことに関しては、ポジティブに思っています。タイヤの選択もばっちり決まりましたし、レース戦略もとても良かったと思います。でも、そのレース戦略を使う前にリタイアしてしまい、悔しいですよ。スタート直後からエンジンパワーがなくなって行くのを感じたと思ったら白煙が見え始め、そしてレースは終わってしまいました。その白煙が原因となって、クルザードとフィジケラのクラッシュが起きてしまったことは、とても残念です。その時、僕は何もできる立場ではなかったのですが、誰も怪我をしなくて本当に良かったと思います。モナコと次のニュルブルグリンクに向けては、バルセロナやポールリカールでハードなテストを重ねてきましたから、すぐ次のレースで挽回したいですね」
中本修平 エンジニアリング・ディレクター
「良くも悪くも今日のレースを盛り上げる立場になりましたね。まずジェンソンは、ここでもまた素晴らしいレースを見せてくれました。どんどんヤルノに追い付くのを見ているのは興奮しました。勝ちに行くっていうのは、気持ちの良いものですよ。琢磨に関しては本当に残念だったとしか言いようがないですね。最高のスタートでしたから、申し訳ないことをしてしまったと思います」