さて、今季最強ながらも、シンガポールでまさかの失速を演じてしまったメルセデスAMGの2台のペースはどうでしょうか? ハミルトンは3周の連続走行しか行っていないので算出は難しいですが、ロズベルグの方は6周のロングランをハードタイヤで行いました。この時のペース自体は前出のフェラーリなどとほぼ一緒でしたが、デグラデーションはなく、走るごとにペースを上げていく……という状態。つまり、タイヤを路面にしっかりとグリップさせ、マシンを滑らせずに走らせているということ……であろうと思われます。シンガポールでは「タイヤを上手く使えていない」と訴えていたメルセデス陣営ですが、ここ鈴鹿ではしっかりとタイヤを使えている印象。鈴鹿サーキットのレイアウトがもたらしたものなのか、持ち込まれたタイヤが前戦とは違う(シンガポールはソフトとスーパーソフトだったのに対し、鈴鹿にはハードとミディアムという、もっとも硬いコンパウンドのタイヤ2種類が持ち込まれている)からなのか、それとも気温なのか、それとも対策が間に合ったのか……どれが正解なのかは分かりませんが、いずれにしてもメルセデスAMGが、前回のような状況に陥ることはなさそうです。
となると、オーバーテイクが難しい鈴鹿では、フロントロウからスタートするメルセデスAMGの2台が、優勝に最も近いのは間違いありません。ただ、予選で2列目につけたボッタスとベッテル、特にタイヤを上手く使うことができていると想像されるボッタスがスタートで先頭に立つようなことがあれば、繰り返しになりますがオーバーテイクが難しい鈴鹿では、レースの最後まで逃げ切ってしまう可能性もなくはないと思われます。ただ、この対策なのかどうかは分かりませんが、今回のメルセデスAMGは、最高速を非常に重視したセッティングを採用しているようです。予選でのスピードトラップ最高速度は、ロズベルグ315.5km/h、ハミルトン315.1km/hと圧倒的なもの。ベッテルやボッタスよりも7km/hも速いのです。この武器を使い、たとえスタートに失敗しても、早々にライバルを交わすことを狙っている……のでしょうか?
さて今年の日本GPは、いったいどんなレースになるのか? 決勝スタート時には晴れの予報となっていますが、夜のうちは雨とのこと……。とにもかくにも、世界最高のコース、鈴鹿サーキットでの1戦、ぜひお見逃しなく。
(F1速報)