レースはここで2コーナーの多重クラッシュの処理を行うために、セーフティカーが出動。4周目に再開されることとなった。この再スタートの際に、アロンソはフェリペ・マッサにオーバーテイクされ、ポジションを1つ下げ、6番手となる。
今回のブラジルGPは1ストップ作戦が主流だったため、ピットストップで逆転するには1回しかタイミングはなく、先にマッサにピットインされたアロンソに残されたチャンスはコース上で抜くだけだった。
「マッサとのギャップを知らせてくれ」と無線でレースエンジニアに尋ねるアロンソは、マッサを上回るペースを維持して徐々に追い詰め、54周目からはその差は1秒を切るデットヒートを繰り広げた。
しかし、ダウンフォースを付け気味のセッティングにしていたマクラーレン・ホンダは、ストレートでマッサを抜くまでには至らない。逆にレース終盤は、後方から追い上げてきたセルジオ・ペレスに1秒以内に詰められたものの、アロンソがペレスの追撃を振り切って、8位でフィニッシュ。4点を追加したアロンソはドライバーズ選手権でバンドーンを抜いて15位となった。
「マッサを抜くことはできませんでしたが、レースペースではマッサを上回るタイムで戦っていましたし、われわれよりもストレートスピードが明らかに速いフォース・インディアのペレスを押さえ込むことができたのは、チーム全員のハードワークの賜物だと思います。その中でも今日はフェルナンドの走りが素晴らしかった。レース後半は約30周以上もマッサの1秒以内につけて、DRSを使用して、後方のペレスとのギャップを維持する頭脳的な走りはさすがでした。次はマクラーレン・ホンダとして挑む最後の1戦。自分たちのパッケージからすべてのポテンシャルを引き出し、2台そろって実力を出し切って締めくくりたい」
(Masahiro Owari)