レッドブル・レーシングのドライバー候補、ビタントニオ・リウッツィは、この新加入チームに自分の将来を預けると決めたわけではないと語った。レッドブルより2005年のマシン1台をクリスチャン・クリエンと分け合う形でドライブするよう要求された場合は特にだ。
イタリア出身のリウッツィは、FIA F3000シリーズ最後のシーズンとなった今年、余裕でタイトル争いを制し、F1界の関心を呼び注目を集めた。また、レッドブルとのテストでも、リウッツィはしばしばクリエンの速さを上回り、周囲に好印象を与えている。しかし今は、デイビッド・クルサードが将来のチームリーダーとして1つ目のシートを確保しそうな勢いにあり、2つ目のシートをめぐってクリエンとの一騎打ちに挑まなくてはならないようだ。
当然ながらリウッツィは、自分が来シーズンF1デビューを飾るのにふさわしいと思っている。だが、チームオーナーであるディートリッヒ・マテシッツが、レースごとか、またはシーズンの前半・後半という形で、リウッツィとクリエンで2台目をシェアする提案を持ち出していて、それはリウッツィには不満なようだ。メディアが、チームが来季こういった選択肢をとることを希望しているようだと報道しているのを受けて、リウッツィは“2005年は別のチームでシートを探す希望を失ってはいない”と発言した。
「他のオプションを考えている。――まだ、ウイリアムズとジョーダンの両チームに空きがあるからね」。リウッツィはイタリアのガゼッタ・デロ・スポルト紙にそう語った。「僕は、クリエンとふたりでシートをシェアしてシーズンを過ごしても、得るものが多いとは思わない。(だから)レッドブルにとって、クリエン、クルサード、僕自身の中から2人のドライバーを選ぶのが、より理にかなっていると思う」
関係者の間の共通の見解は、クルサードのパートナーになるのはクリエンだろうということだ。マテシッツもチームも、クリエンは、2004年に得た経験を元にして、2年目のシーズンを送るチャンスを与えられてしかるべきだという考えだというのだ。マネージング・ディレクターのデイビッド・ピッチフォースは、クリエンとリウッツィの2人でセカンドシートを分け合うという可能性を打ち消したが、リウッツィには金曜テストドライバーとなり、貴重な経験を積むというチャンスは残されている。もし彼のパフォーマンスに太鼓判が押されれば、シーズン途中でクルサードのパートナーに昇格することもあり得る。
リウッツィがザウバー、レッドブルの両テストで見せた速さは、どうやらウイリアムズの興味を再び呼び覚ましたようだ。しかしリウッツィ自身、自分がマーク・ウエーバーのチームメイト候補者としては優先順位が低いことは自覚していることだろう。すでに、ニック・ハイドフェルドとアントニオ・ピッツォニアがカーナンバー8のマシンを争って、しのぎを削っているからだ。リウッツィは、ジョーダンの方が可能性が高いと考えるかもしれない。だが、来年のシートを確保するためには、この財政難のチームに相当額の持参金を用意しなくてはならないだろう。
以上のことを考えると、結局はレッドブルでチャンスを待つのも、そう悪くないオプションと言えそうだ。