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今宮純の金曜インプレッション:水煙で視認できたレッドブルとルノーの進化

2016年3月19日

 スポーツ観戦するときのファッションは、いつも薄着。Tシャツ・短パンのオージーたちが、しっかりレインコートと折りたたみ傘を持参。天気予報は当たった。開幕戦の初日、アルバートパークには強い南風(南極方向から)によって、雨雲が次々やってきた。シーサイドにあるコース、吹きつける海風はFIA表示より強く、体感温度を奪う。

 シーズンイン1日目でなければ、もっと走行を控えるチームが多かったろう。計測ラップをこなしたのはFP1が20台、FP2が15台、どちらのセッションともルイス・ハミルトンが、たちまちトップへ。過去4回ポールポジション獲得実績を持つ彼の「起動力」を刻々変化するコンディションに見た。

 ハミルトンはFP1開始50分が過ぎるころ、雨雲が切れて青空の出かけたタイミングに合わせて、ソフトタイヤを装着。8周ランを続けて1分29秒795、スローラップを挟みながらもタイヤ温度を下げず、刻み上げていった。まだ一部濡れていても、ぶれないメルセデスW07。しなやかなアクセルワークとムリのないブレーキングに思わず見とれた。こういう路面条件だからこそ、慎重さと大胆さのバランスをとるのは難しい。マシンを信頼していないとリズムを持てない。

 昨年FP1ベスト1分29秒557(ニコ・ロズベルグ)の、わずか0.168秒落ち。セクター2と3で最速。この路面状態で好タイムを出し、チームメイトにプレッシャーをかけた。だが本来得意のセクター1では手の内を見せず、ロズベルグが最速。お互いの「セクタータイム牽制」が早くも始まった。ライバルは6位だ。

 さらに風が強まったFP2、土砂降りではないがコース上は完全に濡れたまま。フルウエットを履くほど水膜はないように見えて、このコースには至るところに細かなバンプが点在し、そこに雨水が溜まる。川になるほどではなく、コクピットからは見えにくい。開始55分後、6コーナー出口の水たまり「落とし穴」にロズベルグがリヤタイヤをすくわれた。アクセルオンが若干強め、メルセデス・ワークスのパワー&トルクは強大だ。テールを滑らせた瞬間、反応操作が間に合わずに壁をヒット。そこまで自己ベストで来ていたロズベルグは、ダメージを最小限にとどめるためにマシンを止めた。


 FP2トップの王者は、インターミディエイトで2位ニコ・ヒュルケンベルグを0.467秒退けた。だがセクター最速は、ひとつもない。セクター1と2はセルジオ・ペレス、セクター3はカルロス・サインツJr.。ハミルトンは1周きちんとまとめあげて、スピンしたチームメイトにプレッシャーを放った。

 こういう日が、ずっと続いていくのだ。ロズベルグ自身は、ちょっと冷水を浴びたくらいに思い、そっくり気持ちを入れ替えていけばいい。「ふたりの心理ゲーム」は1日目が始まったばかりなのだから。

 あれほどテストで挑戦心むきだしだったフェラーリは、タイムにこだわらない動きをとった。その裏・心理が面白い。あえて雨が強いときに出たキミ・ライコネンがトップタイムをマークすると、さっとピットへ。セバスチャン・ベッテルはシステムチェックを繰り返して午前中ノータイム。走らずに「うちは万全な準備が整っている」と大敵に対して挑戦的な態度をとった。

 やっぱり来た、フォース・インディア。ヒュルケンベルグがFP2で2位、ペレスがセクター1と2で最速。混戦必至グループにいる彼らが戦力を示す一方で、ウイリアムズはフェラーリ同様に走りこまなかった。これも面白い。直近ライバル意識が相当強いと解釈できるから──。

 開幕前から予測していたレッドブル・TAGホイヤーのウエットでの戦闘力が、FP1ダニール・クビアト2位に表れた。リカルドを画面がとらえた際に一瞬、RB12が水煙に消えるかのように映った。解説で言いそびれたが、ダイナミックダウンフォースの強さとバランスが素晴らしい。フロントからボトムフロア、リヤディフューザーから発生する気流が、水煙のカタマリになって、はっきり視認できた。また、7トークンのみ使ったルノー最新パワーユニットがドライバビリティにこだわった改良も滑りやすい路面で視認できた。決勝はドライの予報だが今シーズンこれからに注目していこう。

 フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンは、ふたりで金曜に56周。ほぼ1レースぶんだ。新体制に変わってからのホンダは着実に周回距離を重ねている。「パワーユニットの信頼性回復=ドライバーの信頼感向上」まず、そこから建て直していくという明確な方針は地に足がついている。一足飛びにジャンプできるほど甘くはないことを第3期を経験した新首脳陣は肌で知る。受け継いだ2年目の善戦健闘を祈る。




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