今季、開幕5連勝を遂げているブリヂストン・モータースポーツは、今週末のモナコGPで、最もタフな挑戦をしようとしている。
ミハエル・シューマッハーのスペインGPでの優勝で、ブリヂストン+フェラーリは昨年のモンツァから数えて8連勝となった。つまり、ライバルのミシュランに対するあの告発以来、連勝を続けていることになる。ブリヂストンはこの勢いを続けていこうとしている。しかしながら、シューマッハー、フェラーリ、ブリヂストンのトリオは、モナコが特に何が起こるかわからないイベントであることを、よく承知している。
3.34kmのストリートコースは、周囲をウォールに囲まれ、非常にスムーズな路面を持ち、各チームとタイヤマニュファクチャラーに特別なチャレンジを課してくる。さらにストリートコースであるゆえに、現地でのテストが不可能であり、前年までのデータや、シミュレーション技術、あるいは、似た性格を持つヨーロッパの他のサーキットで行う限られたテストに頼るしかないのだ。
「スペインGPは、ミハエル・シューマッハーが今季5連勝を達成し、ブリヂストンにとって特別な一戦となった」と、安川ひろしモータースポーツ・ディレクターは語った。「スペインではまた、すべての提携チームがブリヂストンの先進的なタイヤテクノロジーを利用して最大限の優位を得られるということが、はっきりと示された。これが1年中続くことを期待している」
「今週のモナコは、誰にとっても、まったく違ったチャレンジとなる。ドライブするうえでミスの許されない厳しいコースだが、非常に報いも大きい。ブリヂストンのドライバーたちが、この伝統あるレースで戦うのを見るのが楽しみだ。私たちとしては、また別の技術的な挑戦をすることになる。通常のスケジュールより1日早く始まることで、コースコンディションが木曜から日曜まででかなり変化することも考えられるが、ここ何カ月かで徹底的に準備を進めてきているので、以前よりも備えはできていると思う」
F1の中でも珠玉の一戦とされるモナコに向けて、ブリヂストン勢は、フェラーリがフィオラノとムジェロで、ザウバーがシルバーストンで、ジョーダンがポール・リカールでテストを行ってきた。こうした様々なテストから得られたデータに加えて、モナコでの過去のレースからの情報も考慮し、ブリヂストンは今週末に向けて、非常にソフトなコンパウンドを選ぶことになった。
菅沼寿夫テクニカル・マネージャーは、次のように述べている。「私たちは今週のモナコに、5種類のスペックのドライ用タイヤを持ち込むことにしている。様々なテストから、似たような結果が得られていて心強い。これは、開発の方向をはっきりさせるうえで、非常に有益だ」
「モナコはまた、(今季の)ダブルヘッダーとなるレースのひとつ目だから、私たちはニュルブルクリンクのタイヤチョイスについても作業を進めてきた。しかし、特にモナコのことでいえば、私たちは1周目のパフォーマンスを改善するために努力してきた。追い越しのチャンスが限られたストリートコースでは、予選が特に重要になるからだ」
「非常に柔らかいコンパウンドが、グリップや1周のパフォーマンスのためにも重要だが、それによって、ささくれの出る危険も増しかねない。1周目から後のパフォーマンスについても、絶対に妥協しないようにすべきだ。しかし、テストの結果には勇気づけられているから、モナコで私たちのタイヤパフォーマンスを見るのが楽しみだ」