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【ホンダ密着】トラブルフリーで6日間を走破。信頼性発揮の裏にHRD Sakuraの支え/第2回F1テスト最終日

2020年2月29日

 スペイン・バルセロナ郊外にあるカタロニア・サーキットで、2月19日にスタートした全2回の2020年プレシーズンテストが2月28日、幕を閉じた。計6日間の走行最終日となった28日も、レッドブルとアルファタウリに搭載されているホンダ製パワーユニットは、いずれもトラブルを起こすことはなかった。


 これはホンダが2020年のF1に用意したパワーユニット『RA620H』が、高い信頼性を確立するように設計・開発されているからにほかならない。


 しかし、ハードウェアそのものの信頼性が高くても、条件が異なる走行でトラブルが起きることは珍しくない。さまざまな状況のなかで問題を起こさないようにパワーユニットを走らせるためには、それを走らせるスタッフたちの存在が重要となる。


 例えば、第1回テストの2日目に、ホンダはランチタイム中にアレクサンダー・アルボンのパワーユニットを交換した。「ランチタイム前にHRD Sakuraのベンチテストでパワーユニットに関する懸念点が発生した」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)ためだった。


 グランプリ期間中に日本のHRD Sakuraでも、多くのエンジニアが現場から届くテレメトリーデータを監視していることは知られているが、彼らはこのプレシーズンテストでも、サーキットで仕事しているメンバーたちと同じ時間を共有している。


 こうした充実したサポート体制が、ホンダのパワーユニットの信頼性をより高くしていることも忘れてはならない。

田辺豊治F1テクニカルディレクター
田辺豊治F1テクニカルディレクター


 田辺TDはそのサポートに対して、次のように感謝を述べた。


「日本はヨーロッパと時差がある関係で、不規則な時間のなかで、HRD Sakuraのメンバーは本当に頑張っています」


「例えば、テストのセッションがスタートする9時は日本では17時。彼らは9時間あるテストをミッションルームで監視しているだけでなく、テスト終了後のミーティングまで一緒に行うため、彼らの仕事が終わるのは日本時間で27時や28時くらいになることも珍しくありません」


 テスト期間中、現場のスタッフは通常のグランプリよりも忙しいスケジュールで動いている。それはテストはいわゆるカーフュー(夜間作業禁止時間)がないため、24時間作業が可能だからだ。


 もちろん、いまでは徹夜で作業することはなくなったが、カタロニア・サーキットではどのチームも、どのパワーユニットマニュファクチャラーも、昼夜2交代制で24時間作業を行なっている。


「テスト部隊は、2交代制で分かれていて、デイシフトはマシンが走行している時のデータ確認や対応など実戦的な能力が必要となるため、経験者中心で組まれています。新しいスタッフはナイトシフトから入って、ベースの仕事をして現場に慣れてもらうようにしています」


 エンジニア、メカニック、ERS(エネルギー回生システム)のテクニシャンがチームごとにいて、そこに設計に携わるメンバーも加わっているので、10名を超える部隊がテストで作業をこなしている。


 現場部隊の多くのは、1回目のテストが終わった後も、カタロニア・サーキットに残って、パワーユニットのメンテナンスを行なっていた。


 こうしたHRD Sakuraと現場でのスタッフのたゆみない努力が、ホンダのパワーユニットの信頼性を支えている。2週間に渡るテストを終え、ようやくHRD MKがあるイギリスへ帰る現場のスタッフたち。しかし、それは束の間の休息となりそうだ。


「大きな問題はなかったものの、いろいろな課題を発見することもできました。それらをもう一度、見直して、開幕戦に備えたい」(田辺TD)


 テストは終わったが、ホンダの戦いは始まったばかりだ。



(Masahiro Owari)




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