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【津川哲夫の私的F1メカ】ますます早まるピットストップ時間。2回転半から2回転以下へ進化する、おそるべしホイールナット

2018年9月27日

 現在のF1はご存知の方も多いかと思うが、ピットストップでのタイヤ交換の停止時間の最速タイムは2秒を切る。現実的なアベレージタイムでも『サブ3セコンド』、つまり3秒以下が当たり前のレベルになっている状況だ。


言うまでもないが、1000分の1秒を争うF1のレースで、10分の1秒は実に大きく、ましてや1秒の誤差はコース上だけでなく、レース運営、戦略そのものにも大きく影響してしまう。ドライバーが必死の走行でコース上でコンマ何秒かを縮めても、ピットストップがコンマ数秒遅れてしまえばその努力は一瞬にして無駄になってしまうのだから、ピット作業はシリアス極まりない戦いだ。


 タイヤ交換を行うピットクルーは当然、あらゆる場面を想定してシーズン開始前、そしてシーズン中と100回を超える練習を行う。また各種のエクイップメント(設備、作業工具)も進化していて、クイックリリースの前後のジャッキ、ホイールマウントのホイールナット、レーザー・ポジションガイダンス、ホイールガン、ラウンチシグナルシステム……等々、1000分の1秒を削る努力はあらゆる部分で日々、アップデートと進化が行われている。


 その中でもやはり、もっとも重要なのがホイールナットだ。ナットは作業時間短縮の主要ポイントであり、このナットを改善するこはそのまま大きな武器となる。具体的にはナットは回転させることでネジを緩め、そしてネジが締まることでホイール脱着を可能にするわけだが、進化のポイントとしてはこのナットの回転数、つまりネジの数が実に重要な時短の要となっている。


 写真はフェラーリSF71Hのリヤアクスル、グリーンの部分がそのネジ部だ。

津川哲夫F1メカコラム フェラーリSF71Hのリヤアクスル
フェラーリSF71Hのリヤアクスル。年々早まるピット作業時間の根幹を支える。


 スレッド(ネジ)のスタートとスレッドエンドの位置を見ると、ネジは何と2回転に満たないのが分かる。つまり、ナット2回転でホイールが外れ、ナット2回転でホイールは装着される機構を採用しているのだ。


 数年前までは2回転半がもっとも少ないネジ数だったが、現在は2回転に満たないまでに進化している。ネジの工業規格としては2回転以下ではネジロックとしては通用しないはずだが、F1ではもはやホイールナットはネジロックではなく、クイックリリース・ファスナーと言う訳だ。


 ナットはネジを締めるのではなく、ファスナーとしてロックさせる器具と理解を変える必要がありそうだ。ネジひとつとっても常に進化し続ける、まさに、おそるべしF1ワールド。近い未来、ホイールマウント機構からネジそのものが消える日が来るかもしれない……。



(Tetsuo Tsugawa)


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