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松下信治、初のF1テストに驚き「グリップがあり得ないくらい高い。世界が広がった」

2017年8月3日

 松下信治がついに初めてF1をドライブする日がやって来た。マクラーレンのシミュレーターには散々乗って開発に貢献してきたが、実車は初めて。それも速さを増した最新の2017年型マシンだ。 


「緊張は無かったですね、それよりもワクワクして楽しみだっていう気分。ようやく(F1に)乗れるっていう気持ちの方が強かった」


 事前にヒンビルのファクトリーを2日間にわたって訪れ、シート合わせとシミュレーターで準備をしてきた。テスト前日はグスタフ・マリヤの走行を見学し、23時までみっちりとミーティングをしてテストに臨んだ。

ザウバーC36に乗り込む松下信治

 朝9時のセッション開始と同時にコースインした松下は、チームのプログラムに沿って一定速度走行による気流センサーでのデータ収集を繰り返す。それが10時まで続き、松下は一旦マシンを降りてメカニックがセンサーを取り外し、10時45分からいよいよ本格的な走行開始となった。


 まずは中古のスーパーソフトで8周。燃料も重めに積んでの習熟走行だ。しかし松下はF1マシンのグリップの高さに驚いていた。


「とにかくF1マシンはダウンフォースが強くてクルマが安定していて、あのグリップ感の高さと走りやすいのにはビックリしました。(グリップが高いので)縁石も全然使えるし、グリップがあり得ないくらい高かった。それが一番の驚きでした」


 そしてソフトタイヤでロングランを開始したところで松下はミスを犯してしまった。得意のブレーキングを奥へと詰めて攻め始めたところ、オーバースピードでターン5に飛び込んでしまいスピンを喫してしまった。


「1回目のランでいきなりプッシュしてすごく良いレベルまで行けたんです。『すごいブレーキングだな』って言われて調子に乗って、ターン5でバーンと攻めていったらスピンして。クラッシュするかと思ったけど大丈夫でした」


 ピットに戻った松下は別のソフトタイヤに履き替え、今度は18周のロングラン。トラフィックに引っかかった2周以外は全て1分24秒台を並べる安定した走りを見せた。次のランでは異なる空力パーツを試し、計45周を走ったところで午前中のセッションは終了となった。


 本番は午後に入ってからだった。4セットの新品スーパーソフトでの15周コンスタントランが4本用意され、松下はマシンとタイヤの勘所を探りながら徐々に攻めていった。

松下信治

「ブレーキングを攻める僕の走り方だとリヤがオーバーヒートしてしまって、5周目までは良いんだけどその後にペースが落ちてしまうような感じで。でもランを重ねるごとにそれがどんどん良くなっていきました。3本目のランですごく良くて1分21秒998が出せたんです。でもそれも少しミスがあってのタイムだったんで、4本目では結構いけるなと思っていました。でもダウンフォースを大きく削っていったらそれが全然ダメで、最後のセットはダメになってしまって……」


 最後に残された僅かな時間でピットストップ練習などを行ない、計121周を走行。ほぼ全てのチームが予選シミュレーションでスーパーソフトやウルトラソフトの新品を投入しチャージラップを含めて4MJをフルに使ったタイムアタックをしたのに対し、ザウバーは一度もパフォーマンスランをやらなかった。つまり30kgを超す燃料搭載量と、1周2MJしかチャージできないハンデを松下は背負っていたわけだ。


 結果的に3本目の新品スーパーソフトを使った89周目の1分21秒998が松下の自己ベストとなり、トップから4.874秒差で13台中最下位という結果に終わった。


 ザウバーC36のポテンシャルとプログラムの内容を考えれば、当然と言うべきだろう。ある意味では、ザウバーは松下のドライビング能力とフィードバック能力に一定の評価を与え、チームにとって意義のあるデータ収集のテストを優先したとも言える。


「セクター2は待つ感じのドライビングでした。パフォーマンスランをやれたら全然違ったでしょうけどね。タイムはどのくらい上がったんだろう……1秒くらいかな? 少なくとも(今日のプログラムの走りの中でも)理論上はあと0.5秒は速く走れたはずです」


 松下にとってキャリア最長の走行距離だったという。気温36度という暑さも相まって、体力の消耗は激しかった。それでもF1マシンをドライブするという喜びと充足感で、心地良い疲れを感じていたようだ。


「疲れましたよ、1日でこんなに走ったのなんて初めてですからね。距離にして500km。今日1日で水を6リットルも飲んだけど、一度もトイレにいってないんです。つまりそれだけ汗が出てて脱水症状でした。首はまだ大丈夫ですけど、明日は身体のあちこちが痛くなるかもしれないですね」


 このF1テストでさらに成長できるか。松下の世界が広がったことは間違いなさそうだった。そしてFIA F2選手権でランキング3位以内に入り、スーパーライセンスを取得したいという思いがより強くなったようだ。


「でもこうやって新しい次元のクルマに乗ってみてレーシングドライバーとして学べたことは多かったし、世界が広がりました。1分17秒台なんてどんな世界なんだろうって、その先も見てみたくなった。とにかく今はこの経験を生かして、F2のシーズン後半戦で全力を尽くしたいと思っています」


 実際にF1マシンに乗ったことで、松下にとってF1はよりリアルな目標へと変わった。一歩近付いた夢。そこにさらに近付くために、シーズン後半戦へと今回の貴重な経験を生かしてもらおうではないか。

松下信治



(Mineoki Yoneya)




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