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パワーユニットのトークン制度撤廃による、新たな開発競争【F1マシン2017大革命】

2017年1月22日

 大幅に変貌を遂げるシャシーとは対照的に、パワーユニット技術規定の抜本的な改訂は行われない。しかし、各メーカーの開発に大きな影響を与えると予想されるのが、開発を制限するトークン制度の撤廃だ。この施策により、各メーカーの戦力格差はさらに縮まるとみられている。


 当初の予定では2015年には32トークン、2016年は25トークン、そして2017年は20トークンと開発制限が強化されていくはずだったが、メルセデスAMG独走の状況を打破するためにこれが撤廃され、各メーカーともに自由に開発ができることになったのだ。


 開発制限のために大幅な設計変更ができなかったメーカーも、これで完全刷新が可能になる。ある意味ではパワーユニット規定が新規導入された2014年以来の“再スタート”のシーズンなのだ。


 そのため、2017年のパワーユニットは各社の差が更に縮まると予想されている。あるメーカー関係者は「2016年の時点ですでにメルセデスAMGとフェラーリの開発は頭打ちになっており、彼らの伸びしろはそう大きくはない。2017年は4メーカーの性能がさらに拮抗することになるだろう」と予想している。


 実際に2016年シーズン末の時点で、4メーカーの差はかなり縮まってきていた。メルセデスAMGが最も高性能であることは事実だが「各メーカーの差はそれぞれ(ラップタイムにして)0.1秒から0.2秒程度でしかない」というのが多くのメーカー関係者の推測だ。


 ホンダの長谷川祐介F1総責任者は「我々が16年末の段階で(メルセデスAMGに対して)まだ及んでいないことは事実ですが、100馬力も離されているようなことはありませんし、少なくとも、パワーユニットだけでラップタイムが1秒以上も離されるほどの差を付けられていることはありません」と語っていた。

15年の復帰以来、苦闘が続いていたホンダにとっては勝負の年だ
15年の復帰以来、苦闘が続いていたホンダにとっては勝負の年だ


 ホンダにとっては、4メーカーのなかで唯一実戦投入できていないセミHCCI(ガソリンと空気を混合させて、一定の圧力と環境下に置くことで、自発的に着火を行うシステム)技術の導入またはそれに代わる新技術をものにすることが2017年の課題となるだろう。


 ルノーは2016年のモナコGPからセミHCCIを投入し、30馬力もの出力アップを果たしたといわれており、2017年に向けてはさらに新技術の導入を図っているという。ルノーのエンジニアは「2017年こそはメルセデスAMGを超えられる」と意気込みを述べていた。


 ただし、トークン制度が撤廃されることで開発が完全に自由になるかと言えば、決してそうではない。オフの間に加える変更はいくらでも可能だが、シーズン開幕後に使用できるパワーユニットは“年間4基”という基数制限が存在し、いつでも交換が許される消耗部品ではない、パフォーマンスに影響する主要コンポーネントに関しては、シーズン中に3回訪れる新品パワーユニット投入のタイミングでしかアップデートを施すことはできないのだ。


 あるメーカー関係者は「トークン制度がなくなったとはいえ、現実的には、パワーユニット交換のタイミングでしかアップデートの投入はできないだろう。それでも技術者としてはトークン数の縛りがないことで開発の自由度が増すことは事実で、様々な開発を進めることができるようになる。だから、これまで以上に、1年間を通して絶え間なく開発し、進化させていくことが重要だと考えている」と見通しを語る。


 このコメントのとおり、トークン制度がなくなったことで、パワーユニット交換のタイミングに合わせ、年3回はアップデートが行なわれる可能性が高い。


 これまでは限りのあるトークン数を気にして、1カ所を小刻みに開発するよりも、一度にまとめてアップデートする傾向があった。たとえば、燃焼系の改良1回につき3トークンが必要だったため、燃焼室の形状やピストン、バルブ、吸気ポート、スパークプラグなど、どれか1つだけの改良でも3トークンを消費してしまうが、これらを一度にまとめて変更しても消費するトークンは同じ3トークンであったためだ。


 このように、年間のトークン数を勘定して開発計画を練らなければならなかった昨年までとは異なり、2017年はトークン制度がなくなったことで、新品パワーユニット投入のタイミングに間に合うものは全て投入してしまおうという開発方法が可能になる。つまり、各メーカーとも、シーズンを通して小刻みなアップデートを行ってくることが予想されているのだ。


 また、シャシーとタイヤに関するレギュレーションが大幅に変わり、ダウンフォースとタイヤグリップの向上によって、1周あたりのラップタイムが5秒ほど速くなると言われているが、だからといってパワーユニットの重要性が小さくなるわけではない。あるメーカー関係者は「ダウンフォースが増し、コーナリングスピードが速くなれば、それだけスロットルを踏む時間は長くなり、全開率も上がる。むしろ、パワーユニットの差はより顕著に出ることになるだろう」と予想していた。


 スロットル全開率が上がれば、パワーユニットへの負荷もそれだけ大きくなり、信頼性も重要になってくる。2016年は全21戦を5基で戦えば良かったが、2017年は20戦を4基で戦わなければならない。必要とされる寿命が長くなれば、そのぶんだけベンチテストにおける信頼性の確認作業にも、これまで以上に時間を割く必要があるだろう。

年間4基という、これまで以上に厳しい基数制限が課せられる17年
年間4基という、これまで以上に厳しい基数制限が課せられる17年


 規定が大幅に変わるシャシーだけでなく、2017年はパワーユニットにとっても大きな変革の年と言えそうだ。



(Mineoki Yoneya)




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