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故クリス・エイモン、生涯一のベストレースを振り返る〜1972年フランスGP〜

2016年8月9日

 8月3日にこの世を去った“最強の未勝利ドライバー”クリス・エイモンが、2011年、英オートスポーツ誌のインタビューにて、F1キャリアでのベストレースについて語っていた。偉大なるグランプリドライバーであり、ル・マン24時間のウイナーである彼に敬意を表し、英オートスポーツのインタビュー内容の一部を掲載する。

F1デビュー前年の1966年ル・マン24時間でブルース・マクラーレンとともにフォード・GT40を駆り優勝している
F1デビュー前年の1966年ル・マン24時間でブルース・マクラーレンとともにフォード・GT40を駆り優勝している


「私が生涯忘れることのできないレースは、シャレード・サーキットで行われた1972年のフランスGPだ。それはマトラMS120Dでの最初のレースだった」


「F1用のエンジンに多くの問題を抱えていたため、私たちはシャレード・サーキットで、F1のエンジンではなく、スポーツカー用のエンジンを使うことになった。F1のエンジンは2本リングピストンだが、そのエンジンは3本リングピストンであったり、その他にもいくつかの違いがあった」


「F1のエンジンはおおよそ30〜40馬力勝っていたが、スポーツカーのエンジンは排気量が勝っており、よりパワフルだった。MS120Dにはピットを離れた瞬間から非常に良い感触を抱き、これはチャンスだと確信した。そして実際に、私はポールポジションを獲得したんだ」

1972年のフランスGPで“生涯一”のドライビングを披露した
1972年のフランスGPで“生涯一”のドライビングを披露した


「(マトラMS120D)のV12エンジンは、V8のコスワースDFVに比べ、30〜40kgほど重い燃料を積んでスタートしなければならず、それは大きな心配事だった。スタートして数周の間は、重たいマシンと常に格闘していた。だが、私はデニス・ハルムと、ジャッキー・スチュワートのプレッシャーから逃れることに成功したんだ。燃料が減り、少しずつ差が開き始めた。とても良い気分だったよ」


「その後、デニス(ハルム)は後退し、私はジャッキー(スチュワート)に対してリードを保っていた。私はクルージングする余裕さえ感じていたんだ。あの忌まわしいパンクの前まではね。コース上のあらゆる場所にたくさんの石が落ちていたんだ。それを縫って走ることなど不可能だった」


「苦笑してしまうようなピットストップだったよ。タイヤ交換に手間取り、1分半ほど時間がかかった」


「その時点で、私は速く走ることに集中し始めた。自らのポールタイムと同じぐらい速いラップタイムで走り、フランソワ・セベールと、ロニー・ピーターソンの2人を1周のうちにパスした。とても嬉しかったよ」

“最強の未勝利ドライバー”クリス・エイモンと話し込む“サイドウェイ”ロニー・ピーターソン
“最強の未勝利ドライバー”クリス・エイモンと話し込む“サイドウェイ”ロニー・ピーターソン


「残り1周となり、エマーソン・フィッティパルディの8秒後ろを走行していた私は、最終的に4秒差まで迫り、3位でフィニッシュした。あと1周あれば彼をパスできていたはずだ。ジャッキーからは30秒遅れだった。彼はクルージングしたのかもしれないが、大きく差を詰めることができた」


「その日の私に追いつける者は誰もいないと感じていたし、ぶっちぎりのはずだったんだ。それほど好調だった理由を分かっていれば、毎回同じように走れたはずなんだが……!」


〜英オートスポーツ誌、2011年4月7日号に掲載のインタビューより〜



(AUTOSPORTweb)

この記事は国内独占契約により英 AUTOSPORT.com 提供の情報をもとに作成しています




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