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小松礼雄コラム:エースドライバーのチームでの役割

2015年10月23日

 ロータスF1チームで昨年、ロマン・グロージャンを担当していたレースエンジニアの小松礼雄氏。今シーズンはチーフエンジニアに昇格してグロージャン、そしてパストール・マルドナドの2台のマシンでF1を戦います。

 厳しい資金難でレース以外の気苦労、そして物理的な問題に直面しているロータスF1チームと小松エンジニア。第15戦ロシアGPでは、グロージャンが大クラッシュをしてしまう結果に……。また、ロシア前に発表されたグロージャンのハース移籍、そしてルノーとの基本合意報道について小松氏が語る。

 F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム、第16回目をお楽しみ下さい。

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F1sokuho
小松礼雄コラム 第16回

ロマンのハース移籍による影響
エースドライバーのチームでの役割


 今回、ロシアGPの話に入る前にロータス・チームの今後に関わる発表がありました。まずはロマン(グロージャン)が来季からF1参戦するアメリカのハースに移籍することが発表されましたが、これはウチにとっては、はっきり言って良くないですよね(苦笑)。今年の成績を見れば分かりますが、鈴鹿の予選はロマンが8位でパストール(マルドナド)が13位、ロシアの予選ではロマンが8位でパストールが14位。ドライバーとしてパストールよりロマンの方のレベルが高いのは明らかです。ですので、チームのナンバー1ドライバーを失うということは非常に良くないです。

 何の影響が一番大きいかと言えば、たとえばウチに開発資金があってクルマをアップデートできるとして、開発のプライオリティを付ける上で、自分たちが今、どのポジションにいるのかを知るのが非常に重要になります。たとえばロマンが8位のポジションならば、それはほぼクルマのパフォーマンスを出し尽くしていると理解できるので、それで自分たちの正確な位置が見える。だけど、たとえばロマン抜きに直近の予選結果を見たら、鈴鹿は予選13位、ロシアは予選14位。これでは自分たちがどこにいるのか分からないわけです。信頼できるリファレンス(参照となる指針)がなくなります。

 たとえばキミ(ライコネン)がウチで乗っている時に良かったのは、とにかくキミという信頼できるリファレンスがいて、その時点ではまだロマンは何度かキミに予選で勝って速さはあったけどレース経験が少なかった。でも、キミはレースパフォーマンスが非常に安定していたから、ウチのクルマのロングランパフォーマンスが把握しやすいわけですよ。それが一流ではないドライバーが乗ってロングランが安定しないとペースが分からなくなる。その場合、タイヤの使い方が悪いのか、クルマのバランスが悪いのか、それともドライバーが安定しないのか、原因がはっきりと特定できなくなるわけです。

 今のウチのふたりは、はっきり言ってトップチーム、たとえばメルセデスの(ルイス)ハミルトンと(ニコ)ロズベルグ、フェラーリのキミと(セバスチャン)ベッテルのコンビに比べて勝っているわけではない。トップと比べてギャップがある状況です。もちろん、最近のロマンは結構いい線いっているとは思いますけどね。でも来年、そのロマンが出て行って、替わりにウチに来るドライバーがロマンより優秀だとはあまり考えられない。

 資金面からペイドライバーの可能性が高いですし、じゃあそうなったらウチのチームのリファレンスはどうするんですかという話になります。それを心配すると本当にキリがなくなる。ロマンとは2009年にパフォーマンスエンジニアとして1年、2012年からレースエンジニアとして3年、そして今年のチーフエンジニアとして1年の5年間、一緒のチームでしたので個人的な感情もありますが、それよりもまず、来季のチームとしてのリファレンスをどうするのか、それが大きな課題だと思っています。

 また、ロマンのハース移籍と時を同じくしてルノーのロータス買収の基本合意の報道がありましたが、僕たち現場レベルとしては実際にサインして正式発表になるまでは、あまり安心できません。もちろん、今もルノーからの協力があってレースができている部分があって、ルノー側は当然、真剣に買収について考えていると思うのですが、本当のところはカルロス・ゴーンだけが知っているわけで、当然僕らのレベルでは分かりません。

 これまでF1という世界の恐ろしさを何度も味わっていますので、本当に一歩先は分からないです。でも、今回のロマンやチーム買収について思うのは、F1では悪い噂はすぐに広がってイメージが悪くなる一方、きちんと毎日仕事をしていると、誰かが見てくれているというのを感じました。チームによってかなり雰囲気は違いますが、真面目に働いていたら、どっかで誰かがきちんと評価してくれているんだなと感じます。

 F1のチームは同じイギリスにファクトリーがあってもチームの雰囲気は全然違います。ウチのチームはバックグラウンドを含めていろいろな人がいて、もちろんケンブリッジやオックスフォードに行った人もいれば、名もない大学に行った人もいるし、下積みから叩き上げの人とかいろいろな人がいます。僕はこの多様性が良い意味で作用して、みんなが一緒に気持ちよく仕事ができる環境を作っているんじゃないかと思います。ひいてはこれが資金の少なさに比べてパフォーマンスがいい理由のひとつなのかなと。

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