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scope:レギュレーションの、あるべき姿

2016年3月29日

立法権を失ったFIA、安全対策の成果から学ぶには

 予選方式の問題だけではない。ストラテジーグループが“法案”を提出し、F1委員会が“立法権”を握るようになって以来、場当たり的な規則変更がF1の信頼性を損なってきた。マックス・モズレーがFIA会長だった時代に独裁制を経験したF1界は、FIA/FOTAの闘争を経て民主制を目指した結果、あっという間に衆愚政治に陥ってしまったのだ。ファンの間ではFIAが批判の的になることも多いけれど、問題の根源はFIAに事実上の立法権がない点にある。世界モータースポーツ評議会はF1委員会で採択された案を批准しているにすぎず、F1委員会の構成メンバーにはFOM、チーム、スポンサー、オーガナイザー、エンジンメーカー、タイヤメーカーが含まれ、FIAの権限は、その一部にすぎない。

 FIAが、すべて正しいとは言わない。コンコルド協定が非公開であるかぎり、見えないところでどういう話が行き来しているかわからないし、伝えるわけにもいかない。ただ、F1が衆愚政治に陥っているだけでないと証明できるのは、ここ数年の新規則のなかで唯一バーチャルセーフティカー(VSC)ルールが健全に機能している点だ。ジュール・ビアンキの事故を重大に受け止めたFIAでは、アクシデント調査委員会が膨大なデータ分析を行うのと並行して、2014年シーズン終盤のグランプリではVSC下での模擬走行を行い、きちんとドライバーたちの声に耳を傾けたうえで、規則として適用した。安全のための対策にはストラテジーグループもF1委員会も全会一致の支持も必要ない。だから、こうした然るべき手順が可能だった。

 開幕戦で起きたフェルナンド・アロンソとエステバン・グティエレスの事故も、FIAが粛々と進めてきた安全構造の効果を示していた。アロンソが無傷で脱出できたのは、鍛えられたドライバーが最適な安全姿勢をとったからこそ──同時にドライバーを守る安全構造が年々、向上してきたからでもある。

利害関係から離れた「国際モータースポーツ連盟」復活を

 F1の人気が低下している、世界経済の後退でスポンサーが集まらない、だから“ショー的な要素”を、ふんだんに盛り込もう──というのは、商業権を掌握するCVCやバーニー・エクレストンのビジネス。純粋なスポーツのための競技規則と混同してはならない。F1に必要なのは、経済的な利害関係とは離れた位置にいる、経験者たちで構成された立法組織だ。

 FIAの大義名分は世界自動車連盟であっても、活動の主体はモータースポーツ、とりわけF1の統治にある。だから、FIAはジャン‐マリー・バレストルの時代のように、モータースポーツに専心できるFISA(国際モータースポーツ連盟)を復活させるべきかもしれない。セナとの対峙によって悪名高きバレストルではあるが、ドライバーの安全を「優先事項中の最優先事項」として重視し、クラッシュテストを導入したのは彼だ。さかのぼれば、最初のコンコルド協定はエクレストン/FOCAが商業的な利権すべてを掌握する一方で、FISAが金銭的利益を追わずに立法と司法を掌握するかたちで成立したもの。FISAの最大の長所は、経済的な利害関係をエクレストンと共有することのない統治組織として存在できたことだ。

 いまのF1なら、ロス・ブラウンをはじめとして、ストラテジーグループより経験豊富なメンバーでFISAを構成できる人材がいる。健全なファンに愛されるスポーツであるため、レギュレーションの要は人工的に華やかであることではなく、生まれつき健康であることだ。

(c)LAT


(今宮雅子/Text:Masako Imamiya)





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