さて、今季ここまで圧倒的な強さを誇ってきたメルセデスAMG勢は大失速。今回はフェラーリとレッドブルの前にまったく歯が立ちませんでした。VSCのタイミングでダニール・クビアト(レッドブル)の前に出ることには成功したものの、それが精一杯。ルイス・ハミルトンも、ニコ・ロズベルグも、表彰台を争うことすらできませんでした。この原因が何だったのか? あくまでシンガポールのコースとコンディションがメルセデスAMGのマシンに合わなかった……というだけのことであれば良いのですが。今回、スーパーソフトは作動温度領域が非常に限られていたといいます。しかし、彼らはソフトタイヤでも、ベッテルやリカルドから大きく遅れていました。もしこれが、タイヤの内圧規定の遵守を強いられたこと(前戦イタリアGPから施行)に起因するのであるならば、鈴鹿にも、そしてチャンピオン争いにも多大な影響を及ぼしてくることになるはずですが、さてどうなりますでしょうか。日本GPの金曜フリー走行、メルセデスAMGのペースに注目です。
もうひとり、特筆しておきたいドライバーがいます。若干17歳のマックス・フェルスタッペンです。フェルスタッペンはスタートでストールしてピットに押し戻され、1周遅れでレースに加わっていきます。普通ならこの時点で勝負権はなくなるはずですが、最初のSCで先頭と同一周回に復帰し、第2スティント序盤はコース上で一番速いペース(抑えて走っていたベッテルより0.5秒程度速く、しかもベッテルはスーパーソフトの新品だったのに対し、フェルスタッペンはソフトタイヤを装着)で走って前方のマシンとの差を詰め、2回目のピットストップのタイミングでチームメイトのカルロス・サインツJr.の前に出ると、ロータスの2台を交わします。終盤にはフォース・インディアのセルジオ・ペレスを攻め立てましたが、最高速が10km/h以上勝るライバルを抜くのはさすがに難しく、8位でのフィニッシュとなりました。とはいえ、その追い上げは素晴らしく、フェルスタッペンの才能を印象付けた1戦だったと言うことができるのではないでしょうか。
非常に見応えがあった今年のシンガポールGP。そしてその余韻に浸る間もなく、今週末にはいよいよ鈴鹿サーキットで日本GPが行われます。すでにサーキットの準備は着々と進んでいる模様。週末には雨の予報も出ているとのことですが、さてどんなレースになりますか? メルセデスAMGが速さを取り戻すのか? それとも……? 皆様ぜひお見逃しなく!
(F1速報)