【F1日本GPの焦点】メルセデスに2ストップ戦略を決心させた、ふたりのドライバーに対するフェアな精神と不透明なミディアムの性能
2019年10月16日
ベッテルが2回目のピットに入った31周目までに、ハミルトンはフェラーリとの間隔を4秒まで縮めていた。ボッタスが2回目のピットに入った後もペースを維持していた。「でも、そこまでどうやってタイヤを使ってきたか考えると、ゴールまで保たせることができるとは思わなかった」
だから42周目、首位を走りながらピットインのコールを受けた時にも驚きはしなかった。
「もし最初から“何とか保たせて、ゴールまでマネージメントできるかトライしてみよう”と言われていたら、僕は違った走り方をしたし、1ストップで成功したかもしれない。すべて、後になって言えることだけど」
残り11周でソフトに交換し、最後の7周はDRS圏内からベッテルを攻め続けたハミルトン。しかしベッテルはフェラーリのストレート速度を活かし、コーナーの立ち上がりに集中し、ハミルトンに本当の攻撃のチャンスを与えなかった。
土曜の雨に洗われた鈴鹿の路面はタイヤに厳しく、さまざまな作戦が展開された。ラバーインしていない路面の走行ラインは1本に絞られず、多くのオーバーテイクが実現した。それでも、フェラーリは“抜かれない”マシンなのだ。だからこそ予選のポジションを死守しようとし、ベッテルもルクレールもその気持ちが強すぎてミスをした。
「セブのマシンが動いたのを見て混乱してしまった。スタート自体は悪くなかったけど、リアクションが最悪だったね」と、ルクレールは振り返る。
「2コーナーではバルテリとセブの後ろでフロントのダウンフォースを失い、アンダーステアを出してしまった。でも、それは予測すべきこと。僕のミスで“彼”のレースを台無しにしてしまった」
オーストリアGPの一件以来、マックス・フェルスタッペンとルクレールの間には“ハードに戦う”ふたりの“基準”がある。シルバーストンで激しくホイールを接触させながら接戦を繰り広げても「何も問題はなかった」と、フェルスタッペンはそんなバトルを歓迎してきた。
ただし今回は、ルクレールの動きが意図ではなくミスによるものだったことが問題。結果、フェルスタッペンはレースを失った。ルクレールもペナルティを受けたが、フェルスタッペンのレースは返ってこない。ふたりが順調に走っていたら、レースはさらにコンペティティブな、華やかなものになったはず──みんなが、何かを失った。
それでも、多くのドライバーの頑張りが集まったファンの心を満たした。サーキット観戦では、すべてを目にすることはできない。でも、目の前の切り取られた空間で、すべてのドライバーの走りを平等に見せてくれる。
圧倒的な性能を手にしているわけでなく、腕で本物のオーバーテイクを実現するダニエル・リカルドは、ルノーのマシンに動物のような攻撃性を与えた。目指すのはもちろん勝利。同時に「“一番抜けるドライバー”だってみんなに評価されたい」と言う。「ファンのみんなに、レースを楽しんでもらいたいから」──。鈴鹿は素晴らしいコース。でも、熱心なファンが集っているからこそ、日本GPは最高のグランプリなのだと思う。
XPB Images
“第二の母国”日本で8位入賞を果たしたピエール・ガスリーは、レース中盤からサスペンションにトラブルを抱えながら、レーシングポイントの2台とニコ・ヒュルケンベルグのルノーを抑えることに成功した。
「熾烈な戦いだったけど、チームと、ホンダと、応援に来てくれたファンのために、何があっても最後まで頑張りたかった」
困難なシーズンを戦いながら、批判も受けてきた。でも、日本GPのガスリーは1年前よりずっと強く骨太になり、ファンの声援を力に変える術を知っていた。
「鈴鹿は、いろんな意味でものすごくエモーショナルな場所」
少しウエットな鈴鹿が、ガスリーにはよく似合う。本物のファンに包まれて、ここは彼の“ホームサーキット”になった。
(Masako Imamiya)
関連ニュース
5/17(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
5/18(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
5/19(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
※マイアミGP終了時点
1位 | マックス・フェルスタッペン | 136 |
2位 | セルジオ・ペレス | 103 |
3位 | シャルル・ルクレール | 98 |
4位 | ランド・ノリス | 83 |
5位 | カルロス・サインツ | 83 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 41 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 37 |
8位 | フェルナンド・アロンソ | 33 |
9位 | ルイス・ハミルトン | 27 |
10位 | 角田裕毅 | 14 |
※マイアミGP終了時点
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 239 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 187 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 124 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 64 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 42 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 19 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 7 |
8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 1 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 0 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
2024年F1カレンダー
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5/19 |
第8戦 | モナコGP | 5/26 |
第9戦 | カナダGP | 6/9 |
第10戦 | スペインGP | 6/23 |
第11戦 | オーストリアGP | 6/30 |