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【F1特集】ニューマシン誕生の7つのプロセス:レーシング・ブルズ『VCARB 01』が初テストを迎えるまでの16カ月

2024年2月19日

 F1マシンの完成までには、1年数カ月の歳月が費やされる。コンセプト決定、車体設計、CFD (数値流体力学) での作業、風洞でのデータ収集、モノコックなどのカーボン部品の成形、機械部品の機械加工などなど、非常に複雑かつ多岐にわたる2024年マシンの製造過程を、レーシング・ブルズ/RBのテクニカルディレクター、ジョディ・エギントンが詳細に語った。

1)2022年11月〜12月: コンセプトの検討

 25、000個ものパーツを製造して組み立てるF1マシンは、完成までに1年以上かかる。ただし、今シーズンのように技術レギュレーションがほとんど変わらない場合、エンジニアは前年のコンセプトに依存することが多い。


「2024年モデルも、基本的には前年型AT04の進化版だ」と、エギントンは説明する。
「とは言え、完成までの期間が大幅に短縮されるわけではない。今回も新車のコンセプト確定作業は実戦投入の1年半前、つまり2022年の秋に始まった。4、5人のエンジニアグループが、専従でコンセプト開発作業を担ってきた」


「彼らの最大の使命は、空力の最適化だ。空力エンジニアたちが空力効率を極限まで追求できるよう、全パーツをどこに配置するのが正解か。それを我々はパッケージングと呼んでいるが、その作業が彼らの一番の仕事なのだ」

2)2023年1月〜3月:コンセプトについての更なる議論

「1月には、2023年型マシンの製造は完了する。そのタイミングでエンジン・エンジニアたちと話し合い、ホイールベースの決定をはじめ、さまざまなパッケージングオプションを詰めていく」とエギントンは言う。


「なぜエンジン・エンジニアとの話し合いが重要かといえば、たとえばパワーユニット(PU)周りの冷却は空力性能と相反するものだからだ。両者ができるだけ妥協することなく、どこまで高いレベルに行けるか。マシンの総合力を左右する、非常に重要な局面と言えるね」

3)2023年4月〜5月: 選択肢の絞り込み

「このプロセスは、4月から5月にかけてさらに加速する」とエギントンは続ける。
「いくつかの大きな決断が、ここで下されることが多い。具体的にはホイールベース、冷却系、サスペンションレイアウトなどの最初のアイデアを、3つから4つの選択肢まで絞っていくんだ」


 チームはこの作業を経て、9月のシンガポールGPでレッドブルのリヤサスペンションを導入した。そして今年はレッドブルのチャンピオンマシンRB19のフロントサスを採用する。

4)2023年6月〜8月: コンセプトとデザインの最終決定

「数週間の風洞実験を経て、空力部門からホイールベースやサスペンションの最適数値が上がってくる。さらにタンク形状や、シャシーの全長、クラッシャブル構造やラジエターの配置場所などが決まっていく」


「燃料タンクの決定過程を例にとってみよう。 4月から5月には、何リットルのタンクが必要になるかがわかる。この数値は空力部門に伝えられ、そこでまた空力エンジニアたちとタンク設計者の間で議論が始まる。7月ぐらいに妥協点が詰められ、10月には生産が終了する」


「ここで大きな障害となるのが、8月の長期間のファクトリー強制閉鎖だ。ここで開発が中断される前に、新車がどのようなものになるのかを知る必要がある。 言い換えれば冷却系、サスペンション、ギヤボックスの寸法などについて、非常に明確なアイデアを持たないといけないということだ」

5)2023年9月〜10月: 空力の決定

「9月中旬に車体表面の形状を決定する。マシンの空力性能を大きく左右するフェイズだ。ただ、我々のようなスタッフ数も予算も少ない小規模チームでは、これでもすでに非常に遅いタイミングだ。トップチームなら、もっと遅らせても問題ないんだがね」


「12月末には、ホモロゲーション(型式承認)が待っている。その承認に向けてシャシーの準備を整えるために、モノコックや前後ウイング、ボディパーツなどを製造するための大きな金型を作るのもこの時期だ」

6)2024年1月: ボディパーツの製造

「1月は、ボディパーツの製造最盛期だ。すでにモノコックのホモロゲーションは終わっており、ファクトリーの組立スペースに設置されている」


「プレシーズンテストは2月末に行われるが、最初のレースは3月まで開催されないという事実を忘れてはいけない。それまでに詰めることはたくさんあるということだ」

7)2024年2月: シェイクダウン仕様の機械加工

「1月末から2月初めにかけて、最初の仕様のマシンの生産が開始される。一方で、すでに開幕戦に向けて計画されている開発、つまり新しいフロント、リヤウイングやフロアのアップデート、その他の改良パーツに焦点を当てている。バーレーンの開幕戦、あるいは理想的にはテスト最終日に投入できるよう、生産に入る予定だ」


「他にも配管や配線系の小さなパーツも、この時期に多数製造する。もちろんこれらも、テストベンチや品質管理テストで合格させる必要がある。こうして2月には新車用のすべてのパーツが生産され、2月21日からバーレーンで始まる開幕前テストに向かうのだ」

レーシング・ブルズの2024年型F1マシン『VCARB 01』のカラーリング



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)




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