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タイヤ選択への批判にピレリF1が反論「アグレッシブと分かっていたが、FIAとFOMから要請を受けた」

2020年8月8日

 先週のイギリスGPでは、レース終盤にメルセデスの2台やマクラーレンが次々とタイヤトラブルに見舞われた。それに対してピレリ側は、「高い摩耗と過度の負荷がかかったから」と説明し、タイヤ自体の構造的欠陥や不良品であることを完全否定した。


 一方でピレリは、同じシルバーストンサーキットで行われる今週末の70周年記念GPに、さらに一段階柔らかいコンパウンドを投入した(C2〜C4)。案の定というべきか、初日フリー走行ではリヤタイヤにひどいブリスター(火ぶくれ)を起こすクルマが続出し、C4(今回のソフトコンパウンド)はレースではほぼ使い物にならないことも明らかになった。


 しかしピレリは、「アグレッシブな選択であることは承知していたが、ピレリが決めたことではない」と言う。そこにはF1タイヤの唯一の供給メーカーとして、F1からの要請を無視できない事情がある。具体的には、どういうことなのか。ピレリモータースポーツ部門の責任者マリオ・イゾラの説明を聞いてみよう。


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──フリー走行を終えた段階で、各コンパウンドのタイム差をどう見ていますか。


マリオ・イゾラ(以下、イゾラ):C2とC3のタイム差は0.7秒、C3とC4は0.5〜0.6秒と見ている。C4は皆さん見ての通り、(タイヤに厳しい)シルバーストンにおいては非常にアグレッシブな選択だった。今週末は路面温度も40度を超えるしね。そのためリヤにはブリスターが出たし、フロントに出たクルマもあった。ちなみに先週のレースでは、一番ソフトだったC3にもブリスターが出ている。なのでC4のブリスターは、当然予想していたよ。そしてC4がレースのメインタイヤにはなりえないし、レースが1ストップで済みそうにないこともね。


─レースでは、C4は使えないと。


イゾラ:もしC4でスタートしたら、タイヤはすぐにひどいダメージを受けて、早期のピットインを余儀なくされるだろう。それもあって多くのチームはレースに向けて、新品ハードタイヤを温存した。タイヤの限界確認も主にソフトで、そして最低限の周回数でミディアムでも行った。1週間前に問題の出た左フロントタイヤに関しては、今週末も注意深く見て行くつもりだ。


──数週間前にC2〜C4のラインナップを決めた時も、すでにC4が使い物にならないことはわかっていた?


イゾラ:さっきも言ったように、あえてアグレッシブな選択をしたということだ。そしてチームがレースに向けては、ハードとミディアムを使うだろうことも、その時点でわかっていたよ。

ピレリモータースポーツ部門の責任者マリオ・イゾラ
ピレリモータースポーツ部門の責任者マリオ・イゾラ

──各コンパウンドに周回数制限を設けなかったのはなぜですか。


イゾラ:マシンによって特性が違うために、一律の制限を設ける意味はないと思ったからだ。それにコンパウンドごとの周回制限は、チームの戦略的自由度を狭めてしまう。ショー的な要素を考えれば、各チームが違う戦略を立てられた方がいいわけだからね。日曜日のレースは基本的には2回ストップ作戦が主流になるだろうが、それ以外の戦略が機能する余地もないわけではない。状況次第では、3回ストップを行うチームも出てくるだろうね。


──ドライバーからはソフトタイヤはまったく機能しないとか、全然プッシュできないという批判が相次いでいます。1週間前と同じコンパウンドにすべきだったと思いますが、今回のタイヤ選択に後悔はないですか。


イゾラ:このタイヤ選択はピレリが独断で決めたことではなく、FIAとFOMからの要請によるものだ。彼らはレースに、スパイスを振りかけることを望んだんだ。1週目と2週目のレースが、違う展開になるようにね。実はオーストリアでも同じ依頼を受けたが、あの時は違うコンパウンドを用意できる態勢になく、断らざるをえなかった。依頼のタイミングが、非常にタイトだったしね。



(取材・まとめ 柴田久仁夫)


レース

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スプリント予選 27:30〜28:14
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