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F1 Topic:タイトル獲得を目指すホンダF1、開幕戦投入のパワーユニット“スペック1.1”の命名に驚かされた理由
2020年6月29日
いよいよ、ホンダF1の2020年が開幕する。新たな開幕戦となる7月3日から始まるオーストリアGPに向けて、HRD Sakuraのセンター長としてホンダF1のパワーユニット開発を指揮する浅木泰昭は、オンライン会見で「もう2位を目指すという目標はないので、シリーズチャンピオンが今年の目標。最低でもメルセデスと五分のところまではなんとか持って行きたい」と抱負を語った。
そのホンダが、新たな開幕戦に投入するパワーユニットの仕様は、本来の開幕戦だったオーストラリアに持ち込んだものとは異なっている。浅木によれば、「スペック1.1」だという。このフレーズを聞いたとき、筆者は正直少し驚いた。というのも、HRD SakuraのF1部門の体制が変更された2018年以降、ホンダはスペック名に小数点以下の数字は入れてこなかったからだ。
ホンダが最後にスペック表記にコンマを入れてきたのは、2017年のイタリアGPに投入した「スペック3.7」である。その年のホンダはコンセプトを一新したものの、目標としていた性能を出すことができず、矢継ぎ早にアップデートしていった。5戦目のスペインGPで「スペック2」を投入し、8戦目のアゼルバイジャンGPでは早くも「スペック3」を持ち込んだ。
ところが、それでもライバル勢とのギャップは埋まらなかった。そのため、その後もホンダは開発を続け、11戦目のハンガリーGPでは「スペック3.5」、12戦目のベルギーGPでは「スペック3.6」、そして、13戦目のイタリアGPには「スペック3.7」と、毎戦スペックアップしていった。このような地道な努力にもかかわらず、なかなか上位との差を縮められないまま、ホンダは2017年を終了した。
スペック3.5の後、なぜ0.1ずつしかスペックアップしなかったのかについて、当時の総責任者だった長谷川祐介は、「3.6では低速トルクを改善させ、3.7ではマキシマムパワーを上げましたが、エンジン本体に関して大きな変更が施されていなかったから」と説明していた。
つまり、ホンダがスペックで小数点以下を使用する場合、エンジン本体に大きな仕様変更がなされていない可能性がある。
ただし、2017年と今シーズンでは状況は大きく異なる。それは新型コロナウイルス感染症だ。2017年は自由に開発していたが、今年は新型コロナウイルスの感染爆発がヨーロッパで起きたたため、F1も急きょ夏休みに予定していたファクトリーのシャットダウンを3月下旬から前倒しで開始していた。
しかも今年はチームだけでなく、新型コロナウイルス感染拡大の影響による不平等を是正するため、パワーユニットマニュファクチャラーもシャットダウン行い、イギリス・ミルトンキーンズにあるHRD UKは3月30日から49日間閉鎖していた。
さらにパワーユニットマニュファクチャラーのシャットダウンはヨーロッパ以外にある研究所にも適用され、ホンダはHRD Sakuraも49日間閉鎖しなければならなかった。ただし労働環境を考慮して、ヨーロッパ以外にある研究所は分散することが可能だったため、HRD Sakuraはゴールデンウイーク前後にまず第一弾のシャットダウンを行い、残りの日数は夏休み中に消化することになっている。
もちろん、これはホンダだけに適用されたルールではなく、ヨーロッパに居を構えるほかの3つのパワーユニットマニュファクチャラーも3月下旬から5月中旬までファクトリーをシャットダウンさせていた。つまり、パワーユニットの開発は正味1カ月程度しかなかったこととなる。
現時点でほかのパワーユニットマニュファクチャラーがオーストリアGPに投入するスペックの詳細は明らかになっていないが、今シーズンはオーストリアGPに持ち込んだスペックで1年を戦うことになっているため、信頼性を確実に担保したうえで性能を追求したスペックを持ち込むはずだ。
その点、ホンダの「スペック1.1」は、少し訳が違うようだ。浅木は「本来はスペック1、スペック2、スペック3という3つのエンジンで1年間を戦う計画で、オーストラリアに持って行ったのはスペック1、順調にいっていればオーストリアGPでスペック2を投入する予定だった。ただ、シャットダウンの影響で、スペック2に予定していた開発が間に合わず、スペック1.1で戦うことになった」と明かした。しかし、その性能については「1年で伸びると想定していたパワーの3分の1くらいは向上しているんじゃないか」とも語った。
これが本当であれば、この「スペック1.1」は、限りなく「スペック2」に近い「スペック1.1」とも言える。
6月23日のオンライン会見で、オーストリアGPに投入するパワーユニットのスペックについて尋ねられた浅木が「スペック2」と言っても、だれも驚かなかっただろう。そこを敢えて「スペック1.1」と口にしたのは、なぜか。
ホンダが新スペックに込めたコンマ1の理由の答えを、新たな開幕戦オーストリアGPでは楽しみにしたい。
(Masahiro Owari)
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