マクラーレン・ホンダにとって、日曜日のイタリアGPは3日間で一番厳しい一日となった。
土曜日の予選でシャフトが破損したMGU-Kは、その後チーム内で検討した結果、シャフトを交換するのではなく、パワーユニットごと交換することになった。
これにより、MGU-Kだけでなく、ICE(スペック3.7)、ターボ、MGU-Hも新しいものと交換することになったストフェル・バンドーンは、土曜日の段階で予定されていた8番手から18番手に降格してスタートしなければならなかった。
それでも、スタート直後からポジションを上げて、6周目には13番手に。前を走るマシンとの差はわずかで、十分に入賞できるポジションで戦っていた。
ところが、10番手を走行していた32周目にパワーを失って翌周ピットイン。そのままリタイアとなった。
「ストフェルのトラブルは、まだパワーユニットを分解していないので詳細はわかりませんが、データからは前日と同じ、MGU-Kのシャフトの破損だと思われます」(長谷川祐介ホンダF1総責任者)
MGU-Kのシャフトは、封印されているパーツではないので、ペナルティなしで交換できる。つまり、今回投入したMGU-Kは今後もレースで使用することは可能だが、問題はなぜ200kmという短命で、ストフェルのMGU-Kが2基も壊れたのかということだ。
「壊れたときに走っていた場所が同じでした。ターン5の縁石かバンプに乗って降りた瞬間に過大なねじれがパワーユニットに加わって折れた可能性が考えられます」
ただ、壊れたのはいずれもバンドーンのMGU-Kだけで、フェルナンド・アロンソのMGU-Kには今回、問題が起きていないことを考えると、特定のロットの製品不良だった可能性を疑うのが自然だ。
とはいえ、2日連続でホンダがトラブルを出してしまった事実には変わりなく、長谷川総責任者も、
「ストフェルは18番手スタートから10番手までポジションを上げる素晴らしいパフォーマンスを見せてくれただけに、予選後にMGU-Kにトラブルを出したことは本当に申し訳ないと思っています」とドライバーに謝罪していた。
一方、金曜日にスペック3.5のICEをはじめ、すべてのコンポーネントを新しくしたアロンソは、35番手降格のペナルティを受け、19番手からスタートした。パワーユニットは土曜日以降、戦略的な理由からベルギーGPのレースで使用したスペック(3.5)に交換してスタート。だが、レース序盤からアロンソ車はギヤボックスに不具合が発生する。
「フェルナンドのほうはギヤボックスのセンサーがうまく働かずに、シフトアップに問題を抱えていたようです。あれ以上走ると、ギヤボックスにダメージを与えてしまう可能性があったので、チームがレース続行を残念を決断しました」(長谷川総責任者)
高速モンツァで、パフォーマンス的に厳しい戦いが予想されていたマクラーレン・ホンダ。しかし、結果は2台そろってメカニカルトラブル。アジア・ラウンドに向けて、性能向上だけでなく、信頼性の向上も、再確認しなければならないことを痛感したヨーロッパラウンド最終戦だった。
(Masahiro Owari)