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今宮純のF1決勝インプレッション:最大のライバルが仕掛けた“究極の戦略”に打ち勝ったロズベルグ

2016年11月28日

 62年グラハム・ヒル、82年ケケ・ロズベルグ、96年デーモン・ヒル、そして16年ニコ・ロズベルグ。両家から二世代チャンピオンが生まれた。気付かれただろうか、ヒル家もロズベルグ家も、息子たちは同じ“34年後”に成し遂げている。


 初めて最多21戦シリーズで行われた16年、中東アブダビGPまでふたりのタイトルマッチ・レースは続いてきた。14年から3年連続、チームメイト同士、同世代の攻防はとてもめずらしい。


 最終戦が決定舞台になったのは史上29回目、12点リードで初制覇に挑んだ31歳ロズベルグが3冠王者の連覇を5点差で阻んだ。10勝目を上げたルイス・ハミルトン380点、2位で戴冠したロズベルグ385点、ちなみに昨年ふたりは381点と322点で勝敗を分けている。


 この決戦レース、ふたりが目指すべきことはシンプルだった。ロズベルグは自力で表彰台3位内に入ればそれでいい。ハミルトンは必勝し、相手が3位内になれないことを望むしかない。それには“他力”がどうしても必要、2台が自分の後ろに割り込んでくれば……。


 今年さんざん苦しんできたスタートをきれいに決めると、ハミルトンは2位ロズベルグ、3位キミ・ライコネンとほぼ同じペースのまま、序盤から独走する気配が見られない。上位陣がすべてピットストップを終えた中盤過ぎ、トップランナーは遂に“究極の駆け引き”に出てくる。


 40周目からラップタイムが乱高下、2位ロズベルグとのギャップは1秒前後。45周目には先頭ハミルトン+ロズベルグ+フェルスタッペン+リカルド+ベッテル、5台が6.608秒間に連なった。さらに50周目になると集団はもっと圧縮され、先頭ハミルトンから追いついたベッテルまで4台が2.856秒間に。ピットから再三ハミルトンに「ペースを上げよ」の指示が飛び交う。


 2位ロズベルグの背後にいる3位ベッテルもその後ろ4位フェルスタッペンも、何が起きているかいや何を起こそうとしているのか、十分に把握できた。12点を逆転し4冠を奪い取るには“他力”に頼るしかないハミルトン。ドライバーの本能が剥き出しになった最終戦フィナーレ、55周目は自己ベストより2秒も遅い1分47秒213。トップ4台が1.685秒間に詰まったままチェッカーを受けた。


 大渋滞のエンディング。そのなかでロズベルグは11年目、206戦目に『真実のゴール』を決めた。2位を守り抜いたというよりも、ライバルが仕掛けた“究極の戦略”に打ち勝ったというべきだろう。


 34年前、最終戦ラスベガスGPで父ケケは予選6位から5位でゴール。今とは入賞ポイント制が異なるが2位に“5点差”で、偶然だが息子ニコも同じ“5点差”、CS決勝中継解説を終え帰宅する途中に気付いた(ここで申し上げたい)。


 ――ハミルトンがとったプレーに対し、メルセデス首脳陣は批判的な姿勢でいる。しかし彼はPP12回、10勝を上げた“16年最速王”にふさわしいと思う。だからこそ個人的には思いきりよく独走する53勝レースが見たかった。



(Text:Jun Imamiya)


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